裕太の話2

今はまず、別れることが最優先だ。

すぐに絵里に連絡をいれた。


「別れよう。新しい彼と幸せにね。」


少し嫌味なメッセージを送りそのまま放置した。


連絡を入れてからは、これまでのことを思い出し

自分に悪いところがあったかもしれないとも思ったが

伝えてくれないとわからない。


気持ちを察することなんて、

僕にはハードルが高い。

言ってくれれば変わったかもしれない、

好きな人が出来たと言ってくれれば

ちゃんと話もできたし

違う結果になっていたと思う。


だから、

せめて別れてからにして欲しかった。

なんてことを思っていたが

終わったことだし、もう遅いのだ。


スッキリはしないが

僕の中で勝手にそう割り切って

考えることをやめた。


気を張っていたせいで疲れてはいたのだろう。

そのまま気付くと寝ていたらしく。

目覚めた時には外も明るくなりかけていた。


シャワーも浴びていなかったので

すぐにシャワーを浴びてから

だいぶ早いが気晴らしに散歩しながら

大学に向かうことにした。


公園なんてあまり行かなかったが

早朝の公園は、

散歩やジョギングしている人が多かった。


公園のベンチに座り携帯をチェックすると

着信とメッセージがすごいことになっていた。

全て絵里からだった。


メッセージを開くと


「別れようってどう言うこと」

「何かしちゃった?」

「新しい彼ってなに?」


みたいな事が始めに入っていたが

だんだんと


「何か誤解してるよ」

「どうしたの?」

「裕太以外に彼なんていないよ」


になっていき

さらに連絡が取れないことに焦ったのか


「きっと誤解してる」

「お願いだから話をさせて」

「勘違いしてるよ」

「私には裕太しかいないよ」

「別れるなんて言わないで」


最後の頃には


「今から会いに行くから話をさせて」

「お願いだから開けて」

「お願いだから話を聞いて」

「お願いだから返事して」

「お願いします」


「今日は帰ります」


全然気付かなかったが

僕のアパートに来ていたようだ。


「本当にごめんなさい。話だけはさせてください」


というメッセージを最後に終わっていた。


電話の通知もすごかったが

僕からしたら


「いまさら話すこと?」


としか思えなかった。


会いたいと言っても会えないし

連絡も返って来なかった。

そんな日が続いたので、

疑心暗鬼の確認をしに行った。

それで、

タイミング良く確信に変わって今に至る。


僕の中では、もうすでに

話を聞かなくても解決していた。

なので、

とりあえず連絡は返さずに放置した。


大学に着いてからも、

また連絡が来ていたが放置、

バイト中も話だけでもとメッセージが入る。

あまりにもしつこいので、

バイトを終えてから

メッセージだけ送ることにした。


「気にしなくていいよ。

 せめて別れてからにして欲しかったけど

 お幸せに。」


とだけ送ったのだが、

すぐに彼女から電話が掛かってきた。

出るか迷ったが今はやめておいた。

電話が切れるとメッセージが入り


「話だけでもさせてくだい。」


そのまま放置していると


「ごめんなさい。」


と送られてきた。

そのまま返信はせず、

放置することにし

念の為連絡先をブロックすることにした。


これでちゃんと別れられたのかはわからないが

僕の中では区切りはつけられたと思う。


連絡がとれなくなって最初の頃は

寂しかったし辛かったが

今は不思議と


「終わっちゃったなぁ」


くらいの気持ちだ

思ったよりドライな自分に驚いたし

周りから見たら冷たい人に見えるかもしれない。

でも、

絵里のことは本当に大好きだったし

ずっと一緒にいたいと思っていた。

信頼していた分、裏切られた反動なのか

絵里に対しての気持ちが一気に醒めてしまった。


「好きの反対は無関心」


なんてよく言ったものだと僕は思った。



その後すぐに、

浮気相手と名乗る男性が

大学まで押しかけてきた。

僕は、困惑してしまったが

話をしたいと言うので

近くの公園で話す事になった。


公園についていきなり土下座をしてきたり

悪いのは俺で絵里は悪くないと言っていた。

なんとも愛されているんだと

他人事のように聞いていた。

許してあげて欲しいとしつこいので

終わった事だし

なんとも思っていない。

お幸せにと伝えその場を足速に去る事にした。


あまりの勢いにちょっとビビってしまったが

そこまで想っているのであれば

最初から順序を考えて欲しいものだ。



絵里の連絡先をブロックして、

1ヶ月くらい経った。


絵里のアパートも近いので

ばったり会ってしまうかもと思い

最初に頃は、

友達のアパートに泊まったり、

自分のアパートにには夜中に帰るように

調節したりしていた。


その甲斐あってか、

絵里と遭遇することはなかった。


「新しい彼とうまくやってるのかな?」


くらいに思っていたのだ。



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