絵里の話2

大学にも慣れ始め頃、

講義やサークル、バイトなどで忙しくなり

徐々に、裕太と会えない日が増えていった。


裕太には、

元彼が同じ大学にいることは、

いまだに言えないでいた。

何もないので、隠すこともないのだが

変に心配をかけたくなかったのだ。



その後も、裕太とはなかなか予定が合わなくて

すれ違い気味の日々だったが

裕太は、必ず毎日連絡をしてくれた。


最初の頃は、すぐに返信していたのだが

大学生活が思った以上に楽しくなり

友達と遊んだり、バイト仲間と

バイト帰りに話したり、

そして、

友達と一緒に佐藤もいる事が多かった。

なので、

なんとなくその場では、

返信を返しづらかったりしていて、

裕太からの連絡の返信するのが遅くなったり

電話も出られなかったりする日が増えていった。

返信が次の日になってしまうこともあった。


電話に出ても、

みんなといる事が多かったので

そっけなく対応してしまう。

会いたいと言われても

予定が決まってしまっている事が多かったので

忙しいと断わってしまっていた。

裕太を優先にしないで、

新しい生活に馴染む為と言い訳をし

友達関係を優先してしまっていた。


そんなある日、

友達みんなと遊んでから帰りに

佐藤に送ってもらう事になった。


裕太に悪いとは思ったが、

みんなと一緒にいる事で

佐藤を元彼というより

友達として見ることになれてしまっていた。

私に彼氏がいることは、佐藤も知っていたし

大丈夫だろうと思ってしまったのだ。


だが、アパートまで送ってもらう道のりで

佐藤が、昔付き合っていた頃を思い出を話し始めた。

私もなんとなく付き合っていた頃の気持ちを思い出し

今も付き合っているような感覚になってしまった。

アパートに着く頃には、

呼び方も慎吾と呼んでいた。


そして、玄関の前で慎吾にキスをされた。

抵抗すれば良いものも、

私は、キスを受け入れてしまった。

見つめ合った後に、

慎吾は、焦ったようにごめんと言いながら

急いで帰っていった。


私は、少し惚けていたが

部屋に入ってから、

現実に引き戻された。

なんてことをしているんだろうと。

裕太という彼氏が居ながら

慎吾とのキスを受け入れてしまうなんて。


一人になり冷静さを取り戻した。

裕太への罪悪感から泣いてしまい、

その日は、

そのまま泣き疲れて寝てしまっていた。




その日を境に、裕太への罪悪感と

慎吾への私の気持ちがなんなのか、

どうして良いかわからなくなっていた。


裕太から連絡が来るたび、

罪悪感に苛まれ、耐えられなくなり

連絡をなかなか返せない日々が増えた。

お互いの部屋に行き来することも

ほとんどなくなり

裕太に会えた日も、

目を合わせられず理由をつけて

すぐに帰るようにしてしまった。


それからは、

気を紛らわすために

友達と遊んだりバイトを増やした。


慎吾は、キスをしてきて以来

最初は気まずそうにしていたが、

私も、友達関係を壊すことを恐れ

いつもと変わらないように接していた。


だが慎吾は、

段々とわたしに積極的に接するようになった。

裕太への罪悪感は、

さらに私を追い込んでいった。


そして、

私は裕太への罪悪感から逃げた。

楽になれる方に流されてしまったのだ。


慎吾のことを受け入れて最後までしてしまった。

付き合っていた頃に抱かれていたので

抵抗もほぼなく受け入れてしまったのだ。


一人になるとまた、罪悪感に苛まれる。

慎吾に抱かれることで快楽に逃げたのだ。

背徳感も相成りすべてを忘れられた。


慎吾は


「今の彼氏と別れて俺と付き合ってほしい」


そう言ってきたが、

私は、裕太が好きだ。

慎吾とは付き合うことはできないと

そう言っていつも断っていた。


本当に最低だ。

本当に最低なことをしている。

自分でもわかっているが、

楽な方へ逃げてしまっていた。




だが、悪いことをすれば

いつか罰を受ける日が来ると良くわかった。




裕太と会わない日が、

一ヶ月以上経ってしまった。

さすがにこれ以上会わない日が続けば

疑われてしまうし、嫌われてしまう。

なんとか、裕太と会った時に平静を保てるように

今日は、慎吾に抱いてもらおうと

初めて慎吾を家に呼んだ。


この頃はもう、

おかしくなっていたんだ。




慎吾が来て少し話してから、

私からキスをし、抱かれた。

そのまま何時間も快楽に逃げた。




ふと携帯を見ると裕太から連絡が来ていた。


「今日こそ会えないか?」


その後は、


「少しだけ会いに行くから。」


そう書いてあった。




私は、一気に血の気がひいた。

時間を見れば、

ちょうど慎吾が来た後くらいだった。

裕太が来ていたかもしれないと思うと

顔が青ざめていくのがわかった。





「別れよう。新しい彼と幸せにね。」





私は、見た瞬間に震えが止まらなくなった。


そんな私を見て慎吾は声を掛けてきたが

もうそれどころではない。


急いで慎吾に帰ってと伝える。

慎吾は、帰ることに渋っていたが

彼氏にバレたかもしれないと言うと

今は、とりあえず帰ると

渋々帰っていった。


その後すぐ裕太に連絡を入れたのだ。

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