第2話 苦手な幼馴染・弓弦


 みんながゾロゾロと楽しそうに下校するけど、私は一人。

 こんな自分ダメだなぁって思う事もあるんだけど、話題の動画やゲームとかもよくわからないし……。

 スマホすら持っていない。

 SNSで小学校の時に仲良しだった子と色々あって、持つのやめちゃった……。


「おい、花那」


 うえ!?

 いきなり呼び止められて心底驚いた。

 振り返ると、柳弓弦やなぎ・ゆづる!?

 幼なじみの弓弦だ。

 小さな頃は仲が良かったけど、小学校高学年くらいから背がめっちゃ伸びて目つきも悪くなって……アニメに出てくる総長みたいでカッコいいー! ってモテるようになってからは私は弓弦から距離を置いた。


「お前、今日も一人ですみっこにいてよぉ~丸メガネに分厚い前髪、だっさい二本縛り、スカートは長すぎ、ただの白ソックス」


「なっなによ……」


 急に人の容姿をけなしだす。

 全部その通りだけど、校則違反はしていないもん!

 

「ちょっとは、おしゃれでもしろって」


「そ、そんな事……柳君には関係ないでしょ」

 

 学校でおしゃれしてどうするの?

 おしゃれなんか私には必要ない。

 弓弦は、制服着こなしとかってブレザーの下にベストを着てるけどそれ校則違反!

 髪もホントは猫っ毛なのに、ツンツン尖らせてるし、それがおしゃれ?


 私は睨んでるつもりだったのに、弓弦はなぜか目を逸らす。

 

「お前が俺の幼なじみってバレてさぁ」


「えぇ!? なんで!?」


「……なんか話の流れで小山とかにさ」


「……小山さん……」


 聞きたくない名前だ……。

 ……いやだな。


「だから今度のファミレス勉強会、お前も誘おうと思ってさ」


「な、なんでそうなるわけ? 行くわけないでしょ」


「友達いなくて、可愛い服もないなら俺が一緒に買いに行って……え? 来ない?」


 ポカンとしている弓弦。

 どうしてそこで驚くの!?

 私が嬉しがると思ってる?


「行くわけがないでしょ! じゃあねっ!」


「あ! 花那!」


 弓弦が後ろで叫んでたけど、私は思いっきり走って逃げた。

 ファミレス勉強会!?

 人気者の男女がキャッキャして勉強しよって集まるやつ!

 参加したい人は沢山いるらしい。

 大体が勉強会って言って、ポテト食べてドリンクバー飲んで騒いでるだけ!


 友達いない?

 服がない!?

 余計なお世話だよー!


 あぁ嫌な思いをした。


 早く帰ってパソコンを開こう。

 気にしちゃいけない。

 詩の世界が、私の癒やしの場所なんだ。

 だって、あの人が読んでくれるんだもん!

 


 

 

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