番外編

第65話 アンドリュー王太子殿下視点

~アンドリュー王太子視点~


まだ俺が16歳の時、普段なら調べ物や資料が必要な時は侍従に頼むのに、その時は暇だったから自分で図書室に探しに行ったんだ。


そこで幼女カトリーナに初めて会ったんだ。


俺に何かを伝えようと必死な顔で訴えてくる姿に暇つぶしに付き合ってやる事にした。


最初は頭のおかしな奴に捕まってしまったと後悔した。

当然だろ?

未来の話しをするんだぜ。

しかも、転生者だと言う。


この国で疫病が流行るとか、その時にトライガス王国が攻めてくるだとか、さらに俺たち王族は処刑されるとか、有り得ないだろ?


だが、その処刑には俺が心から大切にしたいアリアナと未来で俺との間に生まれた"クリストファー"さらに、アリアナのお腹には二人目の子供がいたと言う。


俺は密かに最初に生まれる我が子には男だろうが女だろうが"クリス"と付く名を考えていたんだ。


まだ見ぬ我が子と、最愛のアリアナまでが処刑される・・・冗談じゃない!

やっと、やっとあの地獄のような場所からアリアナを救い出したんだ。

今まで辛い目にあった分、俺が幸せにすると誓ったんだ。


最初から真面目に話しを聞けば辻褄はあった。

転生者の意味も知った。


確かにトライガス王国の第二王女にマーガレットはいる。

全てはそいつの行動が原因だ。


まずは父上の耳に入れ、間者をトライガス王国に送り込んだ。

そしてバレリオ王太子が信用に値するかも調べた。


俺が19歳の時、カトリーナを連れてトライガス王国に訪問した。

国王は機嫌よく歓迎してくれたが、間者から国王はすでに戦争を起こそうと計画を立て準備していると報告が入ってきていたからな。


そこで、交流を深めるという理由でバレリオ王太子と接触した。


カトリーナからバレリオ王太子は戦争を止めようとした人物だったと聞いていたからな。


カトリーナの説明をバレリオ王太子はすぐに信用してくれたのは助かった。


そこで、マーガレット王女の事も話した。

更生が出来るならそれにこしたことはないだろ?


ただ、無理だった場合は切り捨てると、たとえ血を分けた妹だろうが大陸に戦火を広げる妹なら処分すると。

処分するにも理由がいる。

そこで、あの計画だ。

トライガスの国王とマーガレットを同時に処分できる一石二鳥の計画だが、同時に互いの国で処罰を受ける者も出てくるのは致し方ない。


結局、マーガレットの再教育は国王の邪魔が入り失敗に終わった。


そして計画通り我が国に留学してきた。


巻き込まれるであろうアレクシスには十分な助言はしたが・・・無駄に終わった。

我が国の貴族にも、子息子女の教育に力を入れさせたが、マーガレットの言葉に踊らされた者が出てしまった。


マーガレットに踊らされた者は除籍。

アレクシスは廃嫡され、マーガレットの世話を条件に衣食住の面倒はハイアー侯爵家が持つ。

だがそれも必要最低限だ。


マーガレットは両足を失い、一人では何処にも行けなくなった。


最初の頃はアレクシスの異常な行為も、今では落ち着いたのか、諦めたのか分からないが上手くやっていると監視の者から報告があった。


巻き込まれたヴィクトリア嬢には本当に申し訳ないと思っている。


後で全てを知ったルイスには殴られたが理解はしてくれた。


他国でまで問題を起こした王女の責任を追求され、トライガス国王は退位された。

これも計画通り。


人質の名目で我が国にスカーレット王女をトライガス王国から逃がし自由にすのは、バレリオ王太子が出した、たった一つの希望だった。


もちろん丁重に迎えるつもりだった。

婚約者のいない、ドルチアーノと相性さえ良ければ妻の地位も用意する準備はできていた。

が、その前にルイスにかっ攫われた。


まあ、ドルは政略結婚を強いても受け入れただろうが、誰が見てもドルがヴィクトリア嬢に思いを寄せていることはバレバレだったからな。

ある意味、ルイスには礼が言いたいぐらいだ。


ルイスとスカーレット王女は二度会っただけで、お互いが惹かれ合ったそうだ。

冷遇されてきたスカーレット王女を今はディハルト家総出で甘えることに慣れさせているそうだ。

もちろん筆頭はルイスだ。






俺とアリアナが結婚して10年。

俺とアリアナは今もラブラブだ。

5人の子供にも恵まれた。

すべて息子だがな。

実はうちの息子の嫁にと、ドルのところの娘を狙っているのはまだ秘密だ。



だって仕方がないだろう?

ジョシュアのところも、ルイスやリアムのところも息子しか居ないのだから。


姪ってすっげー可愛いんだ。

しかも双子!

ドルがヴィクトリア夫人の次に溺愛している。

競争率は高いが息子たちには頑張って欲しいものだ。


だいたい男女が生まれる比率がおかしくないか?


だが!俺はまだ諦めていないからな!






あの時、カトリーナに出会えて未来は変わった。

カトリーナにはいくら感謝してもしきれない。

今はカトリーナは医師として働いている。

ベニー団長は人が変わったようにカトリーナだけを溺愛していると聞いた。



以前、マーガレットの両足の切断面を処置したのは実は当時まだ11歳だったカトリーナだったりする。





あと数年で俺も国王になる。

この平和で幸せな世界を皆と力を合わせてこれからも守っていくと誓うよ。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る