5-4 療養食生活

さて、糖尿病になってしまったら食事制限があります

これはさすがに人間バージョンで知ってました


猫の場合も同様で、食後の血糖値が高くなりにくいような専用の療養食があります

かの有名なロイヤルカナンから出てる糖コントロール食です

二キロで六千円するのを、猫氏は一ヶ月で平らげてしまいます

それまでフードは数ヶ月でも千円以下だったので、これは大きな出費


ウェットフードもあるけど、一食二百八十円でした。無理(;´∀`)w


あんなにカリカリも缶詰もウェットもおやつも好きだった猫氏でしたが、ここからずうっと療養食だけの生活になってしまいました(´・ω・`)


猫氏のご飯は朝と夜で一日二回、後で書くけど多飲多尿もあって、私の目が届かない時はケージの中での生活になります

おちびはその間室内で放し飼いで、所定の場所にご飯を置き、いつでも食べられるようにしておきます

猫氏を出すと迷わずおちびのご飯を食べに行くので、猫氏をケージから出す時はおちびのご飯は撤去します

おちびは猫氏のご飯は食べ物だと思ってないので、出しっぱなしにしてても寄り付きません(なんてやつ)

その代わり、お腹がすいたらいつもご飯を置いてある所定の位置に立って私を呼ぶようになりました

たまに黙って立ったままこっち見てるのやめてほしい……怖いから……


実家に連れてく時もちゅーるは廃止になり、家から小分けにして持参した療養食をおやつ代わりにあげるんだけど、療養食って想像するに普通のカリカリより味気ないのかしら。全然食べませんでしたw


フードは高いし、インスリンも注射針も結構な値段だし、月一~二回の通院も必要になり、金額的負担が半端ないです


時々実家から金額的な援助を受ける代わりに、治療に関することを自分なりに決めました


・寛解することもある、とも言われているので、治療は糖尿病に関することだけやる

・それ以外の病気や問題が見つかったら、その時点で糖尿病の治療もやめる


そう決めたのは、猫氏の糖尿病をきっかけに母から聞いた話が元になっています


・昔は動物病院なんてなかったから、飼猫が調子を崩しても病院に連れていくことはせず、そのまま死なせるのが当たり前だった

・治療の線引をしておかないと、いつまでもお金ばかりかかることになる可能性もある(延命措置的な意味で)

・治療できなくなって死んでも、猫はそんなことで飼い主を恨んだりしない

・人間も動物も、自分の口から食べられなくなったら終わり


母はこれまでに何匹も犬や猫を飼ったことがあるので、経験上のことや、母なりの考えもあると思います

私は思考が母に似てるので、話を聞いて特に違和感を感じることはありませんでした

むしろ長命のペットを飼うのは初めてだったので、治療の線引を後押しする話でもありました

自分の口から食べられなくなったら終わり、というのは、中学か高校の時に亡くなった同居の祖父のことが関係しています


嚥下が難しくなった時、穴を開けて流動食で延命するのは、果たして生きていると言えるのか。ただの延命措置ではないのか

これは人工呼吸器とかもそうかもしれませんな


それでもいいから生きていて欲しい、できるだけ命は繋ぎ留めておきたいというのは家族の願いではあっても、そこまでして本人は生きたいのか、という問題でもあります。そしてそういう状態になると、もう本人は自分の意思表示はできなくなっているものです


私は当時まだそうした家族の突っ込んだ話に参加する歳ではなかったので、結局その問題がどうなったのかはわかりませんが、それ以来母が何かと「自分に何かあったら流動食と人工呼吸器だけは嫌だ」と言ってたのを思い出します


食べることができなくなってしまうのは、自分の力では生きられなくなってしまうのと同じこと、というのを、その時から意識するようにはなっていました


そんな重いものを根底に宿しつつ、猫氏の糖尿病生活が始まったのです

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