第26話 新しい恋
美容整形についてネットで調べてみた。
目を大きくする、丸い鼻の形を尖らせる、鼻翼を縮小する、あごの輪郭を細くする、などやってみたい手術がたくさんあったが、かなりお金がかかることがわかった。
両親の理解と協力がなければできない。
すぐにやれることではない。
目先の問題は今日の発電だ。
堀切くんがだめになったから森口くんや知多くんで、なんて都合の良すぎる考えだってわかっているけど、他に相手が思い浮かばなかったのだから仕方がない。
わたしは1時間目の授業中、とりあえず森口くんを意識した。
彼は後ろの席から、いまでもわたしを見つめているだろうか。
ポポポポポ、と発電機が動いた。
堀切くんには幻滅してしまったけど、森口くんでなら、わたしはまだ発電できるようだ。
振り返って、森口くんの方を見ようか。
目が合ったら、もっと激しく発電できるかもしれない。
でももし森口くんがもうわたしなんかには興味を失っていたら、彼もだめになってしまう。
彼は有力な発電のタネだ。失いたくない。
なくしたら、わたしにはまったく興味のなさそうな知多くんやクラスの他の男子で発電しなければならない。
できないことはないと思うが、発電効率はかなり落ちそうだ。
森口くんがいい。
森口くん、森口くん、と考えて、わたしは発電した。
彼と仲良くなって、ボボボボッと発電したい。
2時間目、わたしはそっと後ろを見た。
森口くんは黒板を見ていたけれど、わたしが彼を見ているのに気づいて、こちらに目を合わせた。
彼の視線は熱いように感じた。
わたしはドキッとして、姿勢を元に戻した。
確かに目が合った。彼は目をそらさなかった。
その表情は少し切なそうで、わたしに好意を抱いているように思えた。
発電が加速する。
ボボボ、ボボボボッ、ボボボボボボ。
文芸部に誘ってくれたことは、まだ有効だろうか。
堀切くんとつきあったことは、森口くんにも知られてしまっているのだろうか。
いろいろと気になってきた。
これからは彼とうまくやっていきたい。
繊細で、やさしそうだ。
そんなことを想っていると、途切れずに発電できた。
ボボボッ、ボボボッ、ボボボボボッ、ボボボボボボ。
わたしの発電機が激しく回転している。
とても調子がいい。
森口くん、森口くん、森口くん。
わたしの頭が新しい恋のことでいっぱいになっていく。
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