高校⑥
何となく友達になって、いつの間にか付き合うようになった美緒。
仲の良いカップルと言うよりは、素っ気なく居る僕の傍に仔猫のようにじゃれついている美緒という感じで見られていたようだ。
付き合って1ヶ月が経った頃、僕は美緒とキスをした。
歯と唇がぶつかって痛いだけだった。
付き合って3ヶ月が来る前に美緒が『別れよう。』と言い出した。
『思ったよりつまらなかった。』という理由らしい。
僕に楽しさを求める方が間違っているとは思ったけど、面倒だったので『うん。』とだけ答えて美緒との交際は終わった。
その間、浩香とは学校以外で一度も会わなかったのだが、美緒と別れたその日の授業が終わって学校を出た所で、
『帰りにどっか寄ろうよ。』
と浩香が声を掛けて来た。
3ヶ月ぶりだと言うのに、以前と変わらないテンションで。
『あぁ。どこ行くんだ?』
『駅前のモスは?』
『モス高いからマックにしようぜ。』
『いいよ。今日は私の奢り。』
『え?何で?』
『正斗クンの失恋記念に。』
『何で知ってる?』
『ナイショ。』
驚く僕をにこやかな笑顔で浩香が見ていたが、振られたばかりだと言うのに気分はそう悪くなかった。
大して沈んでいたわけではないが、浩香は会って少し言葉を交わしただけでそんな気分をいつもの高さくらいまで浮上させる。
人の感情を手玉に取る浩香なんて大嫌いだ。
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