小学校⑥

 小学校の卒業式ではクラスの大半が泣いていた。

 どうせ中学校も町内で一つしかなくて、中学受験をした数名以外は全員同じ中学校に行くのに何を泣いているのかと冷めた気持ちで担任の最後の言葉を聞いた。


 『何泣いてんの?』


 教室を出て在校生が並ぶ玄関から正門までの通路を歩いていく。

 校門まで来て振り返ると少し後から浩香が目を腫らして出て来た。


 『何か雰囲気と言うか、自然と涙出てきちゃった。』


 『ふぅん。』


 『あ、それより写真撮ろうよ。小学校最後の記念。』


 めんどくさかったけど、僕と浩香の母親に促されて校門前に浩香と並んで立たされ、両家の母親に何枚も写真を撮られた。

 後日現像した写真には、無表情な僕と、モデルばりに可愛い顔をした浩香が卒業証書の入った筒を持って写っていて、やはりと言うか、両親は浩香のことばかり褒めていた。

 何で他人なのにうちの両親は僕じゃなくて浩香ばかりを褒めるのか……たかが一枚の写真なのにみっともない嫉妬心を煽る浩香なんて大嫌いだ。

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