中学校①
中学生になると、浩香はクラスだけでなく学校中で人気の的になっていた。
(やっぱ凄いな……)
浩香の方からは登下校時や休みの日なんかにはよく気軽に話し掛けてきたりしていたのだが、学校に入ると常に誰かが浩香の周りに居て、僕みたいな平々凡々な男子が近寄れるような雰囲気では無くなっていた。
可愛い上に頭も良く、運動神経抜群で明るい性格とくればそりゃモテるだろう。
僕は急激に浩香との距離を感じてしまい、僕から話し掛け辛くなってしまったのだが、何処からか僕と浩香が幼馴染で仲良しだという話が広まってしまう。
『宝城って井藤さんと仲いいんだろ?井藤さんのタイプとか好きな奴がいるのかとか訊き出してくんねぇか?』
僕が浩香と仲が良いのをきっかけに、浩香を狙っている男子連中から諜報部員のような扱いを受ける事になった。
『浩香ってどんな奴がタイプなんだ?』
『んー……タイプって言うより一緒に居て落ち着く人がいいかな。』
『好きな奴とかいるの?』
『前にも言ったじゃん。いるよ。』
『誰?』
『それも言った。言・わ・な・い。』
『そっか。ありがと。』
『?』
その会話をそのまま伝えたその日から、何故かクラスの男子に妙に大人ぶった物静かな奴が増えていたのだが、そいつらがいつまで経っても浩香に見向きされず、焦れた一人が浩香に告白してあっさり振られたようで随分と文句を言われてしまった。
きっと浩香はめんどくさくなって僕に嘘を教えたのだろう。
嘘を吐く浩香なんて大嫌いだ。
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