小学校②
小学2年生になると、優しい6年生のお兄さんは卒業し、5年生だった人が6年生になってお兄さんの代わりに先頭を歩くようになった。
その人は僕と浩香が手を繋いでいることを度々冷やかしてきた。
『1年生じゃないのに女と手を繋いでるぞ。』
確かに手を繋いで登校するのは1年生の時だけで良かったのだけれど、僕は前のお兄さんが、
『何かあったら浩香ちゃんを守れ』
と言っていたのを忠実に守っているだけなので、どうしてそんな嫌らしい言われ方をしなければならないのか分からなかったが、相手が上級生で体も僕より遥かに大きかったので何も言い返せないでいた。
その内、そいつは浩香にまでちょっかいを出すようになると、ついには浩香は僕と繋いでいる手と反対の手をグーにしてそいつの鎖骨を殴った。
『何しやがる!このバカ女っ!』
そいつは痛みに顔を歪めながら手に持った横断旗を振り回した。
その旗先が僕の頬を掠り傷になってしまった。
『こ、この女が悪いんだからなっ!』
どこぞの小悪党のような事を言って自分の非を認めようとしなかったが、同じ6年生のお姉さんが大人に言ったのか、次の日からそいつは最後尾を一人で歩くようになっていた。
僕は何もしていないのに、上級生に顔を傷付けられる原因を作った浩香なんて大嫌いだ。
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