9.VS ギガントキングコボルト
「グォォォォォッ――――」倒れたキングは即座に起き上がり、大剣を振り上げる。
だがミーシャは余裕の表情を変えることなく、魔法を発動させる。
「――《
しかし普通の魔法使いならそれでも本職の剣士には劣るが、ミーシャは例外中の例外なのだ。
「グワァァァァァッ!!」
「ふッ――――!!」白杖を大振りに振る。
ガンッ!!、と重い音が響く。
ミーシャはキングの大剣を抑えている。
「リーネ、今だ!!」
「え!? 私ですか!!」
「早く!! こうゆう獣は全体的に攻撃すればダメージは入るから!!」
「わ、わかりました――《
放たれた光の矢がキングの肉体に刺さる。
「グワァァァァァァァァァァッ!!!」痛みが走ったのか、絶叫する。
コボルトは登録されているモンスターの中で地上を這うだけの生物。
生態系の中で最も厄介で圧倒的な強さである生態系の頂点に位置するのはドラゴンだ。
ドラゴンは通常の個体でも長寿であり、種族の中でも弱肉強食のため生き残っている個体は戦闘能力が高い個体だらけだ。
だがギガントと名前についていれば、その個体は通常より巨大であり、キングと名前についていれば通常のコボルトやギガントコボルトよりも特殊な能力を持っている。
そしてキングの絶叫の後、少女の姿が大地に消えた。
「師匠!!」
ゴォォォォォッ――――!!!
地鳴りと共にキング周辺に大地が鋭利に変形し、飛び出す。
キングのすぐ近くにいたミーシャは大地に飲み込まれてしまった。
「上位魔法――《
「グオォォォッ――――」
ミーシャの声が聞こえた瞬間、キングとその周辺が一瞬にして凍り付いた。
「……まさか、自分ごと氷漬けにするなんて……師匠!!」
「そういえば――」
『大丈夫、術者に魔法が当たるなんて聞いたことないよ? まぁ、初心者ならあり得るかもしれないけど……範囲攻撃は術者を中心としてるからそこから動かなければ大抵は当たらないよ!』
と言っていたことを思い出す。
「――だったら大丈夫、かな?」
その時だった。
ドコォォォンッ!!
キングの足元から爆発が起きた。
「グオォォォォォッ――――」咆哮と共にキングの姿が現れる。
大地が砕け、小さな影が離れる。
ミーシャも無事のようだ。
「ふぅ~、まだ倒れないなんて流石キングだね!」
「グオォォォォォッ――――!!!」
ミーシャが離れた途端、雄叫びを上げ、物凄いスピードで迫る。
手段を変え、離れるのは危険だと思ったのだろう。
だが……。
「だけど、私が絶対有利スキルを発動したらもう勝ちは決まりだ!!」近づいてきたキングの大剣が迫るが、ミーシャも杖で応戦する。
「グォォォォォッ――――!!!」
「うぉぉぉぉぉッ――――!!!」
またしても大剣を弾き、地面を蹴る。
だけどさっきとは違いキングの顔の前まで飛び、杖を振るう。
「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
ボコッガコンッボコッガコンッ!!
ミーシャは白き杖でキングの顔面を殴る。
ちなみにミーシャの杖は大剣にも対抗できる硬度を持つため威力は人間の拳以上であり、竜の腕力くらいだ。
その後、少女が人間の何倍ものギガントキングコボルトをただ殴り続け、最終的に撲殺した。
ギガントキングコボルトの特殊能力である《
そして《
そして死亡したギガントキングコボルトは魔力の粒子となって消え、ボスフロアの真ん中に宝箱が出現した。
「師匠、大丈夫ですか?」
「あぁ、ありがとう大丈夫だ!」
「師匠、凄いです! 流石師匠です!」
「まぁね!! 私はこれでも万能の魔法使い、だからね!!」
初めての弟子となったリーネに本気で褒められたミーシャは真実を高らかに話す。
そして宝箱を開けると……。
「お、なにこれ?」中に入っていたのは魔道具のようなものだ。
「これだけ?」
流石の意外さにリーネも呟く。
「え~と、中に魔力源があるな……恐らく土地に何かしら施すみたいだ」とミーシャが魔道具の仕様を考察していると攻略組の男達が近づいてくる。
「お、お前達……一体何者なんだ!?」
まぁ、その反応になるな。
他の人からすれば、人知を超越しているくらいだ。
だがこうして私は存在している。
でもどうやってその力を手に入れたと聞かれれば、少し答えづらいな。
私は二千年前から存在している。
あの方の意思を継いで……。
「私は魔法使いのミーシャだ。で、こっちが弟子のリーネだ」
「こ、こんにちは!」
「俺は攻略組のリーダー、ゴウスだ。まずは我々攻略組を助けてくれてありがとう……しかしこのまま見過ごすわけにもいかない。我々攻略組本部の所に来てもらおう」
マジか、助けられたにも関わらず、上から目線とは……。
攻略組は本当に人間性がどうかしているみたいだな。
「攻略組本部ということは……」
「あぁ、冒険者ギルドの本部でもある通称、世界ギルドだ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます