7.攻略組へ同行
ミーシャとリーネが移動し、攻略組の足取りを追う。
二人が攻略組を目にする時にはもう既に迷路の中間まで侵入していた。
「さっき、コボルトさんの報告からなのに……」コボルトの身体能力は人間より上、なのにその報告からもう中間地点まで移動していたのだ。
「確かに目で見れば速い。だけどこの移動距離なら正確な道を知っていれば、不思議じゃないよ」
「あ、攻略組だからですか!」
「その通り! 一度下の層まで行ったことのある奴なら先導で案内すればいいだけの話」
「確か、ここの数層で止まってるらしいですね」
「あぁ、また攻略しに来たのだろう。しかしこの前とは人数に変動はないようだけど……」
「ボスフロアで止まったって聞きました」
人々に広まる情報は僕フロアで攻略は止まっているということだ。
そして現状から察するに人数は変わっていないということは今回は突破できるという自信があるのだろう。
逆にそれしか考えれないだろう。
「どうしますか?」
「見るのはタダだからね。見てみるのも一興かな~」ミーシャはじっくりと二百人くらいの攻略組を眺める。
皆表情はしっかりと覚悟をした顔だ。
実力で言えば確実に高くどこかの団が混じっているようだ。
途中の列で同じ鋼の鎧を着た兵士が五十人……迷宮は下に下がるにつれモンスターは強くなるというが、こんな浅い層ならあの程度なのか……。
「前衛を固める戦法か? でも魔法使いが数人だが……」
「近接特化ですかね?」
「人材を見たらそうなるな。近接特化なら前回で突破してもいいはずだけど……」
「不思議ですね……」
「む? リーネ、もし一人なら周りの状況と戦いの中でも人の戦力や役職をすくに判断できるほどにならないとね!」
「うむむ……魔術師にはその判断も必要なのですね」
一人でもパーティでも魔法使いという存在は常に周囲と仲間を見極め、情報を整理し、行動する。
剣士なら一人なら多少は大丈夫だが、魔法使いの一人は剣士は全然異なる。
どの魔法使いでも接近戦に持ち込まれれば、勝利は圧倒的に低くなる。
「まずは魔法使いが魔法しか使えないと思っている奴がいっぱいいるからな。懐に短剣でも忍ばせてれば、いざという時に刺して隙を突ける!」
「ほぉ~!!」
その反応、素人……?
「……まぁ、時間はあるけど私のペースで行くからな!」
「は、はい!」
そして二人は迷路の壁の上を歩き、攻略組をついて行った。
迷路の層を難なくと進み、階段を降りていく。
「よっと!」
「わあ!」攻略組の姿が階段の奥に消えたのを確認し、飛行魔法で階段の前に降りる。
「んで――《
「え? 師匠これは?」
「あぁ、攻略組の戦力は言ったが、奴らが迷宮を攻略している時に冒険者とばったり会ったら、その冒険者は最初は言葉で退けられるが、従わない場合は戦闘、最終的にはボコボコにされるらしい……」
「えぇ……そ、そんな聞いたことなかったです……」
まぁ、あの男たち何も知らなそうだもん。
「それは尾行も同様だ。恐らくだが新たな情報を攻略組だけで独占するつもりだろう……」
「そんな、外道過ぎませんか?」
「まぁ、その証拠に攻略組だけ性格な道を知っていたし、人数が変わっていないということは前回と同じパーティ……鎧は前回の反省か、防御を半分が上げている。私の妄想はあながち間違っていないらしい……じゃあ進むけど、声は聞こえるから抑えてね」
「は、はい……」
階段を降りるとさっきの開放感のある場所ではなく、洞窟のような階層だった。
古典的な迷宮の風景だ。
気配と視認不可で見えていないが、音はそのままだ。
しかもどちらも初見だ。
「大丈夫か?」
「はい……攻略組いませんね」
「……じゃあ授業だ。攻略しやすくする魔法――《
一つ目は周囲の罠の位置を調べ、二つ目は鉱石の位置を調べ、三つ目は存在の位置を調べる。
それぞれ反応がすれば魔法使いは知覚できる。
「基本的に三つだな。探知系は取得しておいて損はない……そして攻撃魔法と並行に防御魔法だな。それだけで支援も自分の身も守れる。そういえば、リーネは何の魔法が使えるんだ?」
「私は風と光、治癒が得意で……まぁ当然ですよね~」
まぁ、彼女はエルフだ。
控えめに言えば、典型的なケースだ。
エルフは人間より……って何でも比べる時は人間になるのはこの世界の常識となる。
平均と言ったら人間というわけだ。
エルフは生まれつき魔法適正値が他種族より高い。
「ま、当然だね」
「えへへ……私に魔法の才能はありますか?」
「……控えめに言って、いいかもしれないね」ミーシャの心の内はエルフなどに魔法の才能がないとは言わないが、理解度が低いのか天然なのか地味に分からず、微妙な反応となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます