第54話 中間考査の順位
7月の期末考査の順位が証拠口に接する廊下に貼り出される。1、2、3年生それぞれ区分されて貼り出される。1年生のクラスは4階にあるため、階段を上って1階に下りる必要があった。
晴斗は緊張感を抱きながら、順位表に目を通す。2年生は全部で200人いる。TOP50位に入っていない。自ずと下方から自身の名前を探す。
「えーっと……」
1学年で200人。半分の100位内には入っていたいところだ。しかし、なかなか見つからない。多くの他者の名前が羅列する。
「あ、あった……」
100位内に自分の名前は記載されていた。明確な順位は99位だった。100位以内に入ったことで安堵する。
中間考査では180位だった。大幅に順位は上昇したことになる。これも架純や千里が熱心に勉強を教えてくれたおかげだ。特に理系の科目が平均点に達したことは順位が上昇した大きな要因だった。以前は理系科目は赤点ギリギリだったのだから。架純の教え方が上手かったこともあるし、千里の文系科目で分からない問題を教えて貰うこともあった。
「どうだ? その反応から結果は良かったみたいだな」
薄く微笑みながら、架純が晴斗の肩に手を置く。
「どうだった晴君? 順位を教えてよ」
「玲香にも」
「うちが教えたからには、当然50人抜きはしたよね?」
いつの間にか、祐希、玲香、千里も背後にいた。おそらく架純と一緒にここまで来たのだろう。皆一様に結果を知りたがっている様子だった。
「えっと……99位だよ」
3人に訊ねられた晴斗は躊躇いながら答える。すると―――
「やったぁ! 凄いじゃん!!」
真っ先に声を上げたのは玲香だった。
「さすが晴君!」
次に祐希が続く。祐希は嬉しさのあまり飛び跳ねる。
「へぇ~やるじゃない。80人抜きぐらい達成したんじゃない? 」
千里は少し感心するように言った。3人ともこの結果に満足しているようだった。
「ありがとう4人共。特に勉強を教えてくれた架純と橘さんには感謝してる」
4人は互いに健闘を称え合うように笑顔を交わす。
「ねぇ、今度またみんなで勉強会しようよ! 次のテストがあるときだけどね!? 玲香は勉強苦手だから今度テスト前に教えて欲しいな」
玲香の提案に対して、架純が返答する。
「あたしは大丈夫だけど……。どうかな他のメンバーは? 」
「私は別に構わないわよ。でも晴君もいい? いいよね?」
祐希が同意を求めるように言う。
「うん、俺も構わないけど……」
「じゃあ決まり!! 」
玲香の気合いの入った言葉を放つ。
「ふふっ。次のテスト前が楽しみ」
千里が小さく笑う。
「少し気になったんだが、他の4人の順位はどうだったの? 」
晴斗は疑問を口にした。
「1位」
「2位」
「3位」
「150位」
架純、千里、祐希、玲香の順番に順位を口にする。
「お、おぅ。皆さんすごい順位を叩き出してるね」
晴斗は目をパチパチとさせ、呆然とした状態になった。想定外の4人の返答内容によって。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます