第52話 自宅でシャワー&朝食
「ねぇ! 山本さん! 朝食たべていく!」
「ふぇ!? 」
晴斗は風呂場の戸を開ける。特に思考を巡らせずに。
晴斗の視界に玲香のブラジャー姿が映る。玲香の膨らみのある胸が半分ほど露見する。
そして、その横には脱ぎ捨てられた衣服。
下着姿の玲香と目が合う2人。一瞬だけ時が止まる。
「きゃぁぁぁぁ!!!」
「ご、ごめん!! まさか着替え中とは知らなくて!!」
晴斗は慌ててドアを閉める。
「はぁはぁ…。やってしまった」
晴斗は自分の行動を悔やむ。いくらなんでもいきなり開けるのはダメだろ……。
(それにしても……山本さんのあれ思ったよりも大きかったな……。いかんいかん! 煩悩退散!! )
すると、ドアの向こうから声が聞こえる。
「もう大丈夫だから……」
らしくなく、玲香は頬を真っ赤にしながら、風呂場の戸から顔を覗かせる。
「本当に申し訳ないです……」
「別に気にしてないし……。」
バタン。
玲香はゆっくり戸を閉める。
(いや全然気にしてるだろ。完全にやらかした~)
羞恥に襲われながら、晴斗はリビングに戻りソファーに座ると、そのまま横になる。
「…お待たせ」
恥ずかしそうに玲香が風呂場の戸から出てくる。身体中から湯気が上がり、頬は赤く染まっている。その姿はとても艶めかしくて色っぽかった。
「うん……。じゃあ俺も入ってくるよ……」
晴斗はそそくさと立ち上がり風呂場に向かう。
脱衣所で服を脱ぐと浴室に入る。シャワーで軽く汗を流して浴槽に浸かる。
「………………。」
晴斗は先程のことを思い出す。
服から覗いていた綺麗な身体が脳内にフラッシュバックする。それと同時に罪悪感が生まれる。
「あー!!! くっそぉー!!」
頭を掻き乱し、必死にシャンプーで髪を洗う。こんなことは初めてだった。
「何やってんだよ……。ほんとバカだろ……」
自分で自分を罵倒する。
でも、仕方がないのだ。思春期男子には刺激が強すぎる光景だったのだから。
「ど、どうも」
ぎこちない顔で晴斗は玲香に挨拶をする。
「う、うん。おいっす」
いつもなら笑顔を見せてくれるはずの玲香だが今回に限っては表情筋が全くと言っていいほど動いていない。無理もない。あんなことをしてしまったのだから。
「えっと……。とりあえずご飯食べようか?」
「そうだね……」
2人は向かい合わせになるように食卓に着く。テーブルの上には目玉焼きとトーストにベーコンが置かれている。
「どうぞどうぞ! 玲香ちゃん! たくさん食べてね! 晴斗はもちろん私が食べさせてあげるから」
「はいはい……。好きにしてくれ……」
朝っぱらからテンションの高い洋子に呆れながらも、口元に運ばれた目玉焼きを咀嚼する。
「どう? おいしい?」
「普通かな……」
「ちょっと! そこは美味しいって言うところでしょ!」
「はいはい。美味しいですよ〜」
「なんかムカつく〜!!」
そんな2人のやり取りを見て玲香はクスリと笑う。
「やっと笑ったね」
「えっ?」
「さっきまでずっと硬い顔してたから。やっぱり笑ってる方が可愛いよ」
「ふぇ!? 」
洋子の言葉に玲香は顔を真っ赤にする。
「ちょ! お母さん! いきなり何を言ってるの!」
晴斗は即座に突っ込む。
「別に本当のことでしょ。ねぇ玲香ちゃん」
「いえ…。玲香なんかそんな」
玲香は両手をブンブン振って否定する。
「ふふっ。謙虚ね。決してそんなことないのにね。晴斗もそう思うでしょ? 」
玲香の反応を見て、洋子は楽しそうに微笑む。
「そ、そうだね。山本さんは可愛らしい顔をしてると思うよ」
「へ、変なこと言わないで! 玲香の調子が狂う! 」
玲香は慌てふためく。プラス顔を真っ赤にし、目を硬く瞑りながら。
「あらら。怒られちゃったわね」
くすくす洋子はおかしそうに笑い声を溢す。
「ご、ごめん。不快にさせたかな? 」
晴斗は心配そうに玲香を見つめる。
「べ、別に……。そういうわけじゃないけど……バカ」
玲香は小さく呟く。そっぽを向きながら。
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