第5話 未来ある若者たちへ

 「とりあえず、魔力測定をやるだがや。」

 オババがおばさんメイドに指示すると大きな水晶を持ってきた。

 「ついに私の才能の片鱗へんりんを見せるときが来てしまったようですね。」

 オババの言う通りに手を乗せた。フフフ、魔力が膨大ぼうだいで水晶が割れて壊れてしまうかもね。

 「ん?」

 水晶は何の反応もしなかった。

 「やはりそうだでよ。」

 オババはしたり顔で言った。初代勇者カツヤも水晶が反応せず魔力ゼロだったと記録されている。

 「ステータスオープン」

 ケイタが唱えると目の前に半透明のウインドウが現れた。異世界ならあり得るかと思ったが、実際にすっと出てくると不思議以外の何物でもない。

 「ふうん…。多いのか少ないのかわからないけど、魔力43って出てるよ。」

 これって他人にも見える仕様なのか気になるところだ。

 「なんと!」

 オババはリアクションが良いなぁ。

 「ステータスオープン」

 オババが真似して言った。

 「何んにもならんがぁ。」

 ステータス表示は現地人?にはなくて転生人だけの特典なのかもしれない。初代勇者カツヤがを知っていたとは思えないので、転生人だけのものかはわからないな。

 「このスタータス表示ってオババや王女様も見えてます?」

 聞いてみた。

 「はっきりは見えんぎゃ、魔力の揺らぎは見えるでよ。断言はできんでが勇者様だけに与えらーれた魔法きゃもしれんーねだ。」

 魔力の揺らぎか。魔王が存在して剣と魔法の世界。あと中世ヨーロッパ風の文化レベルなら王道の異世界で間違いなさそうではある。

 「そして謎は深まるばかりであったと……。」

 リアクション芸人のオババまでスルーですよ。

 「とにかくだー初代勇者様は剣の達人で聖女様と盾師と魔術師の4人でパーティーを組んで見事に魔王の討伐を果たされただぁーよ。その後、初代勇者様はイルバニアの王になり聖女様と結ばれてだーな、そんでーだ初代ユキ様が産まれたーだ。以降、聖女の能力を持つ王女様にユキ様の名前が継承ネームとされただがえ。このユキ王女様は魔力量が膨大だで歴代最高の力を持つ聖女様かもしれないーでだーな。」

 なぜか自分が得意顔のオババだった。

 「そんなことはございませんよ。」

 謙遜するユキ王女も美少女だ。

 「つまりは、パーティーを組んで魔王が復活するまでに討伐する実力を身に付けるって事ですね。」

 ケイタは言った。

 魔王の復活まであと5年あるが、それが長いのか短いのかはわからない。とにかく、初代勇者カツヤ、聖女バルバラ、盾師ハーデス、魔法使いヘルセポネの4人の勇者パーティーは5年の研鑽けんさんて、見事に魔王を討ち果たした。そして伝説になったのだ。

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