第4話 江戸は良いとこ一度はおいで

 「江戸?」

 江戸時代の江戸か?

 「江戸は日本から譲り受けたと聞いてるで。」

 徳川家康の時代でも約400年前、初代勇者がいた時代が400年前だとすると一応計算は合うが、ここが地球と同じ時空にあるのかもわからないし、そこを気にしてもしょうがないのかもしれない。

 話しの腰を折ってしまったが召喚直後なのでスマン。

 「まあ、ともあれ魔王討伐がんばります!」

 ケイタは敬礼した。

 「適応はやっ、そしてかるぅ。」

 ミネルバは困惑しながらも、話しを続ける。

 「初代勇者のカツヤ様は剣の達人だったそうだで、ケイタ様も剣の腕前がすごいんでないかい?」

 ミネルバって結構年齢いってるように見えるけどいくつなんだろ。地球人と寿命とか違うのかな。

 「んっ?剣?なんか記憶ないんでわかんないけど、たぶん修学旅行で買った木刀しか持ったことないよ。」

 普通そんなものだよね。

 「にゅあにぃ?修学旅行ってのはよくわからんだが、日本人は日本刀でチャンバラ勝負で腕を競い合うとじゃなかか?」

 ミネルバは驚く表情が多彩たさいだな。

 「なんか微妙に日本人像がおかしいな。初代勇者様が武士だったなら剣の達人でもおかしくないけど、今の日本人は剣なんて振るえないよ。」

 ワンチャン記憶がないだけ実は剣の達人の可能性はあるが……ないな。

 「勇者様の記憶がないっだあ、どういうこぉだあな。初代勇者様が記憶喪失だったぁ記録はないだべな?」

 ユキ王女に確認していた。

 「はい。私が知るかぎりそのような資料はありませんでした。」

 これで黒目黒髪だったら日本人って言っても通用しそうな気がするというか、日本人にとって親しみ易い見た目なのは初代勇者の血を引いているからなのだろうか。

 「スマンが記憶喪失は一時的かもしれんで後回しにさせてーだ。」

 ケイタの知識でも記憶喪失ってのは思い出すのを待つくらいしか対処方法がない気がする。

 「ところでオババはいくつなんだ?」

 ケイタはつい、聞いてしまった。

 「なんと、レディに歳を聞くなんてとんでもなあ非常識だが。」

 だから、驚く表情が良すぎるって。

 「ちなみに二十歳はたちじゃ。」

 「偽証罪で有罪です!」

 ケイタは何歳なんだろうか。

 「悪かった、ついま魔が差したんだで許しておくろ。」

 「執行猶予です。これからの更正こうせいに期待します。」

 ケイタは裁判官のように右手を上げて判決を言い渡した。

 ミネルバは気がついてないかもしれないが、ケイタはひっそりオババと呼ぶことに成功した。

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