初仕事四重奏
第12話
「うーんどれにしようか」
掲示板の前で初仕事は何にしようかと悩む俺。
今日は新人6人の初仕事。
それぞれ、何にしようか掲示板前で仕事を探している。
「ねぇ、ユーゴ一緒に仕事行こうよ!」
「·····なんでお前と一緒の仕事しなきゃなんねーんだ」
「べっ、別にいいじゃない! 幼馴染なんだし! チーム組もうよ!」
冒険者は仕事によっては、1人ではなく仲間とチームを組んで仕事を引き受ける。
·····だけど、今はその時じゃない。
「悪いけど、初仕事は1人でって決めてんだ」
「なっ、どうしてよ」
「そりゃ、アイラがチーム組んでねえからだよ」
俺の超えるべき存在は、初仕事から今までチームを組んだことがない。
初仕事は余裕でこなし、次の仕事を直ぐに受注。
仕事を終えたらアイドル活動。
目標はアレだが、その為だけに最強の称号を手に入れたあいつは本当に凄い。
「アイラが出来たこと俺もできねぇと、あいつを本当に超えたとはいえねぇ」
「·····それはそうだけどさぁ、私」
「お見苦しいですわ、ミソラ・ミストラル」
何かを言いかけたミソラの口元に扇子をかざして割り込むエルメ。
「ふざけた理由で、夢を追いかける人の邪魔をしてはいけませんわ。それとも、ここでやっていける自信が無いからよく知る同郷の彼から助けて貰おうとしているのかしら」
「·····いきなり何? アーチロイド嬢」
二人の間にピリッとした空気が流れる。
「少しイラッとしたので邪魔しただけですわ」
「はい? 人様の会話に口出さないでくれます!?」
「言葉を変えようかしら、貴方のせいで彼が困っていたから彼を助けてあげようとしたのですわ」
なんか、とてつもないくらいヤバい雰囲気が出てるので空気を消して気になっていた仕事の張り紙を取って、カウンターにいるマスターに提出しに行く。
「まったく、青春を送りたいならもう1年スクール生をやり直せば良かったのでは?」
「·····どの口がいうんだかバカップル」
「あら! 羨ましいんですの!?」
おい、お嬢その言葉は皆に刺さるぞ。
「ユーゴあの喧嘩止めてこい」
「無理っすよマスター」
「お前が原因だろ·····」
「なんでですか! とりあえず俺は仕事に·····」
「おっ、ユーゴ仕事行くの?」
ギルドに入ってきたアイラは俺を見つけると直ぐにこっちにやってきた。
「うおっ、アイラ」
「へー、クマ系モンスターの討伐ねー、あっ、この道今日通るわ」
「そうなのか? どっか行くのか?」
「うん、センタ王国の舞踏会」
「はっ?」
「招待状来たから行ってくるわ、あれだったら護衛として着いてくる? 丁度依頼かけようと思ってたんだよね。3人くらいいればいいんだけど」
この女いまサラッとなんて言った!?
「という訳で師匠、依頼登録お願いします」
「うい·····ってなんで招待状貰ってんだ!? 平然と言うから驚くタイミング見失ったわ!」
「師匠、アレっすよアレ。ドラゴン退治の時に助けた王子。あれが私のファンらしくて呼ばれました、ファンが私をイベントに呼ぶってよくあるじゃないですか」
「「そういう次元じゃねぇ!!」」
そんな事で呼ぶわけないじゃないだろ!
舞踏会だぞ!舞踏会!
なんでこいつに直接届いてるんだよ!
まっ、まさか、王子がアイラに惚れたんじゃないよな!?
·····それならヤバい、もしアイラが·····
『私、セイバー様が好なんで3次元とか無理っす』
なんて言いやがったら、大変なことに!!
考えすぎかもしれないが、こいつ一人で行かせたら絶対に問題を起こすぞ!
同じことを思ったのか、俺とマスターの顔が青くなる。
「おい、ユーゴ。アイラについてけ。これマスター命令な。このバカを弟分のお前がちゃんと見てろ」
「おっ、うす!」
「後は2人·····」
「はぁ!? 今なんて言いましたの!?」
エルメの大きな声が聞こえて振り返る。
「執事が居ないと何にもできないお嬢様って言いました~戦闘はできても家事とか出来るんですか~?」
「この
「あっ、あの2人にすっか」
パソコンにカチャカチャとあの二人の名前を入れるマスター。
「何考えてんすか!? めっちゃ喧嘩してますけど!? あの状況でよく入れましたね!?」
「新人お前らしか残ってないからさ、アイラのお守りに中堅以上使わせるのもアレだし·····」
お守りって言いやがったこの人!
「丁度いいだろ、初仕事が憧れの人の護衛なんだから」
護衛という名のお守りだろうが!!
「おーい、エルメ、ミソラ。仕事だ! アイラの護衛な! 一緒に付いてけ!」
「「はぁ!? なんでこいつと!!」」
「マスター命令だ! いいから支度しろ!」
クエスト シロガネ・アイラを制御せよ!
難易度 ???
適正ランク ALL
クエスト発注者 ユーゴ、エルメ、ミソラ
マスターの命令に従い俺達はすぐに支度をして馬車に乗り込んだ。
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