第6話

「「アイラ様ー!!! ユーゴぉおおお!! 」」


馬車に戻ってくると子供達が泣きながら出迎えてくれた。


「アイラ様ぁぁ! うわああああ!! 勝っちゃった! 勝っちゃった! あのゴブリン達に勝っちゃった!」


「怖かったよぉ! うわあああああん!」


「さっ、出発しよう。先生達も心配する·····ってあー御者さん倒れてるんだった」


休ませてる御者を馬車の中に入れて、私は手網を引く。


「アイラ様大丈夫なの!?」


「·····もち! アイラ様はサイキョーですし! 馬車も運転できるから! さぁ皆乗った乗った!」


早くしないと、彼らの先生が心配するだろうし。

本調子じゃないけど、頑張らなきゃ。


「本調子じゃないだろ、俺も馬は引けるから手伝ってやる」


隣にぴょこっと座るユーゴ。


「ありがと、でも」


「いいから、ほら行くぞ」


手網を引いてユーゴは馬を出した。


「ありがとう、ユーゴ」


「助けて貰ったし当然だろ」


「第一印象とここまで変わるなんて、私めっちゃいい事したみたいね」


「·····わっ、悪かったよ! 昨日は本当にごめん! お前のこと誤解してた」


「まぁ、分かるよー、こんな可憐で可愛いアイラちゃんが最強でS級だなんて、信じられないよねー」


「·····そういうところはちょっとアレだけど」


「ちょっとアレってなに!?」


「バカみたいな理由で強くなってるし、ちょっとムカつくけど、アイラは凄い冒険者で俺なんか全然足元に及ばねってことがよく分かったよ」


清々しい笑顔で彼はそう言った。


「だっ、大丈夫だよ! 今から修行すれば強くなれるって!」


あちゃー! やっべ、落ち込ませちゃった。

子供の夢壊しちゃったか!?

将来の夢は最強の冒険者とかだったのかな!?

そんなつもりじゃなかったのよ私!


「そっそうだえーっとね、目標を見つけて魔力の基礎トレーニングあと筋トレ! あとは好きな武器を見つけて練習すること! それから、それから、色んな事すれば強くなれるよ! 多分!」


「何慌ててんだよ、別に俺は落ち込んでねぇよ」


「えっ、ほんと?」


「つーかお前、俺の事子供扱いしすぎ、12だぞ?」


「いや私17よ、5歳も離れてりゃ弟みたいなもんじゃん。でもよかったー、落ち込んでなくて」


「でもよ、いつかはお前のこと超えてみせるから。覚悟してろよな!」


「えぇ、首を洗って待っててあげる! さっき言ったことやれば強くなれるから! あとはそうだな、守りたい好きな子でも作りなさい! ミソラちゃんとかどうなのよ~」


「うわっ、その姉ムーブうっぜ!」


「反抗的なのかっわいい~」


「まじお前いい性格してるよな」


「えぇー?何が不満なの?ギルドに入ったらもっと可愛がってあげる」


「そんときゃ俺は15だ、可愛げなんてなくなってるよ。つーかギルドに入ったら直ぐにお前に追いついてギャフンと言わせてやる!!」


「あははっ! 楽しみにしてる!」


可愛い弟分ができた私は久しぶりに心の底から嬉しくなって笑った。

5年後が楽しみだな~それまで私も追い越されないように頑張らなくっちゃ!


そうして月日はたち5年後。


「アイラぁ! どこ行くんだよ!」


「師匠今日はテレビの生放送って言ったじゃないですか~」


「馬鹿野郎! お前今日は新人入団試験じゃねぇか! お前も面接官だろうが!」


「大丈夫ですー、最後の方には戻ってくると思いますから~じゃっちょっくら愛を振りまいてきまっす!」


「こらぁ! アイラ!!」


「あっ、そうそう。私の弟分が来るかもしれないんで、その時は連絡お願いしますね! 師匠!」

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