第4話
「たはーやっちゃいましたーすみません師匠!」
「すみませんじゃないわ! バカアイラ!」
ケルヒャーのギルドのソファに寝そべりながら師匠に連絡したら怒号が飛んできた。
「何、ゲルドナドラゴン消滅させとんじゃ!! ドラゴンは希少だから研究サンプルがすくないんだぞ! あー怒られる、俺が国から怒られる!!」
「師匠何言ってるんですか、ドラゴンを研究するとか言って兵器とか作ったら大変ですよ? 人々の争いの元を消したんです褒めて貰いたいくらいですよ」
「適当なこと言うな! お前ぇ! あれだけ使うなって言ったのになんであの魔法使った! 気持ちいいからか!? あれ使うとハイになれるからか!? 自分もぶっ倒れるし、人巻き込まれたら大変な事になるって分かってないのか!?」
「ううー、分かってますよ。でも早く倒したかったんですよーあいつが暴れて私から逃げて街にでも行ったら今よりもっと被害が出てましたよー」
「·····まぁ、それはそうだな」
「それで、どうだったんですか? どっかの国の王子は無事でしたか?」
「あぁ、昨日連れ去られた人間は大丈夫だったよ、洞窟の中で保存されてた」
·····保存ってことは埋められてたのか。
良かったー洞窟壊さなくて。
壊したら私のせいで王子を殺すとこだった、あっぶなーい。
「一応ギルドとお前に国から勲章が付与されるそうだ。良かったな。あとお前車壊してないだろうな」
「·····あはは、それなんですけど、ドラゴンの咆哮で森共々吹っ飛んでましたー!!」
ドラゴンの攻撃の時に、あっちの方向車停めてたんじゃね?って思ったら案の定。
私を運んで貰った際に、木っ端微塵になってるのを発見した。
·····めっちゃショックだったなー、あの二人もがっくりしてたし。
「コノヤロー!! あれ高いんだぞ!? 弁償しろ! 今回の報酬から車代引いとくからな!!」
「ほげぇええ!! そりゃないですよ!!」
「うるさい! お前金稼いでるだろ! じゃ元気になったら早く帰ってこいよ!!」
「·····切られたし」
電話を机の上に置いて掛けられた布団をギュッとしてくるまる。
「おーい、アイラ、何寝てんだよ! 勝負するって約束だろー!」
「ちょっとやめなよ、アイラ様疲れてるんだから!」
私の顔の前に二人の子供が顔を出す。
あー忘れてた、ユーゴにそんなこと言ってたわ。
「ごめーん、アイラさん今ちょーっと疲れてるから後にしてー」
「こら、二人ともアイラさんにちょっかいかけないの!」
「あっ、お父さん」
「うえっ!? ゲンマさん!? おい、アイラ起きろ! ゲンマさんが来てっぞ!」
「うー揺さぶらないでー」
「こら、ユーゴ、アイラさんにそんな態度とるな。アイラさんは俺らの命の恩人なんだぞ」
「·····あーさっきの、すみませんねー運んでいただいて」
冒険者 ゲンマ・ミストラル
「いえ、助けて貰った恩人なので気にしないでください、アイラさん」
「ゲンマさんなんでこいつにそんな態度とるんだよ! ゲンマさんだってすげー冒険者じゃん!! こんな人気票でS級になったやつより、A級のゲンマさんの方がすげーじゃん!!」
·····人気票って、まったく田舎には冒険者教育が行き届いてないわけ?
ランクをあげるには、魔力量審査、戦闘審査、これまでの功績などの項目をクリアしないといけないのに。
あと、ドラゴン討伐の仕事をA級になんで任せたのかしら。
ドラゴンの討伐適正ランクはS級以上。
それくらいドラゴンは人類にとってやばい敵なのだ。
この人ベテランそうだし、分かってるはずよね?
·····まぁ、A級でも才能ある子ならドラゴンは倒せるけど
「ごめんな、ユーゴ。私は凄くないんだよ、この方はあのドラゴンを一人で倒したんだ、私は倒れた仲間の看病しか出来なかったよ」
「えっ嘘だ! だってこいつぶっ倒れて」
「私達には使えないような魔法を使ったからだよ」
「·····あっ、えっ? 嘘だろ?」
うわ、凄い信じられない顔してる。
めっちゃショック受けてる。
·····そんな顔されるとこっちが傷つくんですけど
「本当だ、この方がいなきゃ俺達は帰って来れなかった。アイラさん、キョウヤも無事に目を覚ましました傷薬ありがとうございました」
「あー良かったですー!」
「ほっ、本当に!? おっ、お前が!? なっなんで!?」
「そりゃ、S級ですからー」
「じゃっ、じゃあなんであんな噂流れてんだよ!本当に強いならそんな噂流れねぇだろ!」
「出る杭は打たれるって言葉しりませんか? 坊ちゃん。私に嫉妬してる誰かが流したんですよ~まぁ、それも愛いですけどねぇ~」
「·····!」
ヘラヘラしながらそう言うと、ユーゴはバツが悪そうな顔を見せる。
「ユーゴ、アイラさんに何か言うことは?」
「·····その、悪口言ってごめんなさい」
「いいよー、許してあげるから、早く強くなって私超えてね~それとも一緒に戦う?」
「ええっ、その、いいのか? 俺酷いこと·····」
「可愛いから特別」
「んなっ!? 俺をからかってるのか!?」
「本気だけどー? まぁ、強くなったらの話だから、頑張ってね~」
適当に話して子供をあやす。
12際の生意気な子供をあやすにはお姉さん的な余裕が必要だ。
「くっ、くそー! バカにしやがって! 覚えてろよ!!」
そう吐き捨ててユーゴは顔を真っ赤にして逃げた。
「可愛いなーユーゴ君。からかいがいがある」
「·····アイラ様、あまりユーゴをからかわないで下さい!」
「あはは、ごめんね、ボーイフレンドをいじっちゃって」
「ちっ、違いますって!!」
「·····アイラさん、あんまり子供達をからかわないであげてください。この年の子は敏感なんですから」
「あはは、すみません。私には兄弟が居ないものですからつい可愛くて。ごめんねえっと、ミソラちゃん」
私が名前を呼ぶと彼女は目を輝かせて私を見つめてくる。
「アイラ様が私の名前を! ひゃああ! お父さん!! やばっ! やばいよぉ!!」
「あはは、ミソラちゃんも大きくなったら冒険者になるの?」
「·····分かりません、でも、冒険者にならないと·····」
「悩むくらいならならなくていい、全くユーゴと同じ道を歩まなくたって」
「おっ、お父さんのバカ!!! 知らないッ!!!」
ミソラも顔を真っ赤にして私の前から駆け出した。
あはは、そういう事ねお姉さん分かっちゃった。
「お父様、この年の子は敏感なんですよね」
「·····ううっ、私もやらかしてしまったようです」
「ふふっ、余計なお世話かもしれないですけど、ミソラちゃんに大きくなったら私と戦おうって伝えといてください。これで恥ずかしくない理由が出来ましたから」
少し複雑そうな顔をして、ゲンマさんは頷いた。
「分かりました、ありがとうアイラさん。それでは私はこれで」
誰もいなくなった執務室。
少し疲れたのでそのまま私は目を瞑って眠りについた。
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