第3話

「さて、気を取り直してドラゴンを狩らないと!」


車を停めたら、近くの山を散策する。

やっぱり、この辺にいると思うんだけどな。

だって、木が滅茶苦茶に倒されてるし、骸骨とかもあるし!

はぁーこりゃ色んな人が食われてるなー、もしかしたら王子様もやばいかも。


「あっ、あうう·····」


「しっかりして! キョウヤ!」


「くっそ! なんだってこんな!!」


「大丈夫ですか!」


近くにいた男女3人組。

格好からして彼女達も冒険者か。


「酷い傷·····! 傷薬あるので使ってください!」


鞄から傷薬を取り出して吹きかける。


「おぉ、お嬢さんありがとう」


「いえ、それより何があったんですか」


「ゲルドナドラゴンよ、あの洞窟から出てきた所をやろうとしたらこのザマだわ」


·····あそこが寝床か。


「分かりました、殺ってきます」


「ええっ!? 無茶よ!」


「そうだぜ! 巣の中に入ってたヤツはみんな帰ってきてないんだ!」


「洞窟の中はほかの魔獣も住んでて危険なのよ!」


「大丈夫です! アレ倒すために来たんで!」


「「へっ·····」」


私の笑顔を見てポカンとする二人。

洞窟かー、面倒だから塞いじゃいたんだけど、生存者がいたら困るからなー。


「じゃあ、いっちょやりますか!」


一気に力を込めて魔力を放出させる。

足先、指先全てに力を集中させると、その力が魔法陣となって具現化される。


「ドラゴンをおびき寄せるだけならこれで十分!」


大量の魔力を放出して、外にに獲物がいることを知らしめておびき寄せる。

ドラゴンは高魔力生物を好んで食べる習性がある為、魔力を放出してさえいれば、こちらから出向くことなくやってくる。


まぁ、でもこういう事は皆しないんだけどね。

だって人間はドラゴンに勝てっこないもん。

だから隙を作って大人数で討伐体制を組む。

きっと、募集をかけなおしたのは、討伐相手がドラゴンって分かったから。

最初から分かってたら、最初からS級以上しか仕事受けられないもん。

だって、A級以下がいった所でドラゴンの餌になっちゃうだけだしね。


「グラアァ!!」


おっとおいでなすった、黒き鱗のゲルドナドラゴン。

不吉の象徴、人喰いドラゴン。

なんでまた、人里に降りてきたんだか。

ここ50年は出現報告を受けてないのに。


「でも、ここで討伐されてくれよな!」


愛刀、ヴァルキュリーを抜いて放出していた魔力を剣先に込める。


「喰らえ! 戦乙女の斬撃ヴァルキリアスラッシュ!」


炎を纏わせドラゴンの首を取りに行く。


「うわっ! 硬っ! これだけじゃ無理か!」


「あの子、一人で戦ってるよ·····」


「無理だろ·····俺たちだって、3人しか残らなかったのに」


「でも、凄いあの剣だけでドラゴンと渡り合ってる·····」


「グラララララァ!!!」


やばっ!ブレス撃たれた!

あっぶねー、髪かすっただけでよかったー。

あのブレスは光属性っぽいな·····てか、すごい威力。

森1つ消えてんじゃん。


「だけど、私の方が凄いから!」


空にふわりと宙返り、空中に魔法陣を大量に描き力を込めて唱える。


「空から降るは赤き星、その最後の灯火に焼き尽くされるがいい!!」


流星の灯火スターダスト・リュミエール!!』


魔法陣から沢山の隕石が降り注ぐ。

その大きな図体は格好の的となり、攻撃を全て受ける。


「グギャああああ!!!」


「よしっ効いてる!!·····ぎゃっ!!」


私の攻撃に抵抗するよにドラゴンは尻尾を剣のように振ってきた。


「ちょっと! 痛いんですけど!!」


数メートル吹っ飛ばされて木に体を打ち付けられた。


「オエッ気持ち悪っ!」


「あんた大丈夫か!」


「あれっ、さっきの人まだ逃げてなかったの?」


「逃げれるわけないでしょ! ドラゴン出てきちゃったんだから!」


·····あちゃー私のせいだ。


「というか、本当に一人で大丈夫なの!? 私達20人で討伐部隊組んだのよ!」


「そうだ! B級の俺たちが20人でも·····」


「大丈夫です! なんたって愛の力は最強ですから!」


「「·····愛の力?」」


「はいっ! 私は愛の宣教師シロガネ・アイラ! だから心配ご無用です!」


「「はっはああああ!!? シロガネ・アイラああああ!?」」


私が走り出す姿を見て驚いた声を上げる二人。

流石私有名人!

おっと、調子に乗るのはまだ早い。

大技繰り出したけど、まだ暴れるだけの元気はあるから、コンボ決めて倒さなきゃ!


「ハートビートアクション!」


身体のスピード強化、からの


「かかと落とし!」


物凄い高さからのかかと落としをドラゴンの頭に決め込んだ。

その瞬間足に魔力を込め魔法陣を描く。


「ライトニング・バースト!!」


足から放たれた光線はドラゴンの目に命中する。

暴れ回り、ブレスを吐くドラゴン。

ブレスのとぎれめを狙って、口の中に魔法を打ち込む。


「ガギャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」


「最後は愛をこめて、貴方を葬り去ります!」


全身に力を込めて、地面に大きな魔法陣を描く。

それに気づいたドラゴンは空を飛ぼうとする。

·····だがもう遅い


「さぁ、貴方に最高の終幕を!」


『永遠に続く幸せな終幕永遠に続く幸せな終幕エターナル・ハッピーエンディング


眩い聖なる光は飛び立つ龍を包み込み、そのままゆっくりと消滅させる。

これこそ、私の最強の浄化魔法。

1番優しい愛のある葬り方。

瀕死状態である敵を無条件で消せる技である。

ちなみにアンデット系モンスターには効果抜群だ。


「·····すっごい嘘でしょドラゴンが·····!」


「あれがS級冒険者·····」


だけど、使った後にデメリットが·····


「すみませーん、ちょっと動けないんで運んで貰えますー?」


私の全魔力と引き換えになるので動けなくなってしまう。


「「えええっ!?嘘でしょっ!?」」


「あははーお願いしまーす」


地面に半分顔つけながら笑顔でそう言った。

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