第41話 涼葉の努力と幼い一
私は正直甘く見ていた。
一君を探し始めて早3時間。
私は一君を見つけられずにいた。
「はぁはぁ。どうして。」
なんで見つからないの。
私は焦っていた。
このままじゃ一君を救えない。
せっかく過去に戻ってきたのに。
公園を10件ほど回ってもなお一君を見つけることはできずにいた。
今は日曜日のはずだから一君は公園にいるはずなんだけど。
私はあきらめずに探し続けた。
諦められない。
一君の顔を後一度でもいいから見たい。
”たとえ一君が私のことを忘れてしまっていても”
やっと見つけた。
私が一君を見つけたころにはもう日が沈みかけていた。
「ねえ、少年?」
私はできるだけ自然に一君に声をかけた。
「あんた誰?」
一君は私を不審者を見るような目で見ていた。
さすがにきついなぁ~
一君にこんな目で見られるの、
「私は月風涼葉。大学2年生だよ。」
「そんなあんたが俺にどんな用?」
そっけない反応の一君。
やっぱり堪えるなぁ
泣きそうになっちゃうよ。
「君?今元気?」
「はぁ?いきなり何を言うかと思えば、元気だよ。」
呆れたような声で一君は言う。
「でも、一回病院でしっかり検査を受けてみたら?」
「なんでそんなことを、」
「病気は早く見つけておかないと、手遅れになってからじゃ遅いんだよ?」
「そうかもしれないけど、俺は大丈夫だよ。」
一君は呑気にそんなことを言っていた。
「私はそんなことを言って病気で死んじゃった人知ってるからさ、検査だけでも受けてくれない?」
「なんで俺に言うんだよ。」
一君は怪訝そうに私に聞いてくる。
「君がその人に似てるからかな?」
「そんなことでいちいち小学生に声かけんのかよ、」
呆れたように言う一君。
私呆れられすぎでは?
「まあまあ、そんなこと言わずに受けてみるだけならただなんだから。」
「...まあ、受けてみるだけなら、ただか。」
一君は一人何か納得したような顔で言う。
「まあ、受けてみるよ。きれいなお姉さんにここまで言われたらさ。」
そう言ってにっこり笑う一君。
やっぱりこういう所をはっきり言う所は一君だな~と思った。
「そうだよ。少年。じゃあ、受けてみてね。」
「わかった。じゃ、俺は明日にでも病院で検査受けてくるよ。」
「あと、お姉さん。俺は良いけどいきなり声かけてそんなこと言ってたらいつか通報されちゃうよ?」
一君はいたずらっぽく笑っていた。
「そうだね。気を付けるよ。ありがとね。」
「じゃあ、さよなら。きれいなお姉さん。」
一君はにっこりと笑い走り去っていった。
「綺麗なお姉さんって、ませてるなぁ~一君。」
その瞬間、私の体は淡い光を放ち始めた。
「これって、」
【そして君の望む「陰野一が生きている世界」が確定した瞬間に今の世界に戻る。】
私はあの自称神が言っていた言葉を思い出した。
「つまり、私は一君を助けることができたってことかな?」
私の体が光ってるってことは現在に戻るってことで、
やっぱり一君を助けることができたんだよね?
そんなことを考えていると私の視界は真っ白に染まった。
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