第36話 状況変化
みんなでご飯を食べ終えた時に少し体に違和感を感じたが気にすることなく午後もみんなで遊園地を回った。
そして、日が沈み午後7時を回ったころ
「そろそろ帰るか。」
「そうだね。」
隆介と柚木がそういう。
「そうだな。もういい時間だし今日はこの辺でお開きにするか。」
「うんそうだね。」
こうして、隆介は柚木と、俺は涼葉と
帰ることになった。
その帰り道、家の近くの公園で涼葉に呼び止められた。
この時の俺はとても嫌な予感がした。
「ねえ。一君。」
「どうしたんだ?」
「ありがとね。」
「いきなりどうしたんだ?」
「今までいっぱい一君に助けられた。そして何より一君は私をしっかりとみてくれた。だから、ありがとう。」
いきなりそういわれて俺は固まってしまった。
いつになく真剣な表情でそういった涼葉の目は何かを決心したような熱が込められているように見えた。
「一君。好きです!付き合ってください。」
それは告白だった。
俺が涼葉から最も聞きたくない言葉だった
「、、、」
きっと俺は答えを出さないといけない。
でも、その答えはどうしようもないほど残酷で、俺はその解答以外の選択肢を持ち合わせていない。
涼葉の告白から数秒、数十秒と時間が過ぎていく。
のどが渇く。のどに何かが詰まったように呼吸が苦しくなる。
「涼葉の気持ちはすごくうれしい。でも、ごめん。君と付き合うことはできない。」
俺はやっとの思いでこの一言をひねり出した。
「っ、、、」
涼葉が走り去っていく。
その瞼には涙がたまっているように見えた。
だが、彼女を止める資格は俺にはない。
やはりもう少し距離を取るべきだった。
遊園地の時点ではやはり遅すぎたのだ。
俺は後悔やこれからどうするかという未来に対する不安でいっぱいだった。
この日はもう何もする気が起きずに家に帰ってシャワーを浴びてそのまま眠りについた。
次の日から涼葉は俺のほうに来なくなった。
いつも学校では常に一緒にいたのだが涼葉はクラスメイトと話しており一度も俺のほうに来ることがなかった。
(寂しい。だが、これは俺が望んだ結果でもある。)
それから本当に涼葉と一度もかかわることがなく季節は移り変わった行く。
気づけばもう12月24日クリスマスイブだ。
もう、冬休みに入っているので外に出る予定は特にない。
朝起きてスマホを見る。
スマホには柚木から12時に公園で待ってる。と一言入っていた。
特に予定がなかった俺は時間どうりに公園に行くことにした。
公園にはなぜだか、涼葉がいた。
俺は気まずくなって踵を返して家に帰ろうとするが涼葉に呼び止められる。
「まって!!」
「、、、」
「久しぶりだね。一君。」
「久しぶり。涼葉。」
彼女は昔と同じように微笑んでいた。
やっぱり俺はこの子のことが好きなんだと再認識する。
だからこそ俺はこの子の前から姿を消さなくてはいけない。
「私ね、クラスでいっぱい友達ができたんだ。」
「そうだな。よくクラスで笑っているよな。」
「でもね、どれだけクラスで友達を作っても一君といるときみたいに心の底から笑えないことの気づいたの。」
もうやめてくれ。どれだけそんなことを言われても君と付き合うことはできないんだ。
だからこれ以上俺に未練を残させないでくれ。
「だから、もう一度言うね。私は一君のことが好き。だから、私と付き合って。」
「ごめん。」
そういって今度は俺が逃げ出した。
走るのがつらい。苦しい。
目の前が歪んで自分の体から平衡感覚が抜け落ちていくような感覚だ。
どれだけ走ってだろうか?かなり長い時間走ったような気がする。
少し休憩しようと足を止めたとき、どうしようもないほどに頭が揺れる。
どんどん租界が真っ黒に染まっていく。
俺はそれにあらがえずに静かに意識を手放した。
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