第32話 幼馴染と親友
あれから数日が経過したが未だに太陽が逮捕されたというニュースは流れてこなかった。
少し不安に感じるが今の僕には何もすることができない。
数日で傷も少しはふさがったがまだ退院はできないらしい。
そんなことを考えていると扉のほうからノックが聞こえる。
「どうぞ~」
俺が一言声をかけると扉が開かれる。
「ういっす」
そういって現れたのは隆介と柚木だった。
「一久しぶり。けがの具合はどうだ?」
「一!危なくなったら私たちを頼ってねって言ったじゃん!!」
そういう柚木に物凄く怒られた。
それを隆介になだめられている。
「で、後どれくらいで退院できそうなの?」
少し落ち着いた様子の柚木に聞かれる。
「あと一週間くらいかな?そんな感じに医者に言われた。」
「そうか!じゃあ、退院したらみんなで遊びに行こうぜ!」
こいつ、結局誘えなかったのか。
「そうだな、俺もそろそろ寝てばかりで暇だったからな。そうしよう!」
「じゃあ、退院したら行こうな!じゃあ、俺はそろそろ帰らないといけないんだけど柚木はどうするの?」
「もう少し一と話をしたいから先に帰っててくれる?」
「ああ、もちろん。一じゃあまたな。」
そういって隆介は扉をあけて部屋から出ていく。
「で、本題の入ろうか。一。」
いきなりそんなことを言われて俺は困惑した。
「涼葉ちゃんのことなんだけどさ、まだ犯人が捕まっていないって本当?」
「ああ。いまだに逃走中だそうだ。」
「それって大丈夫なの?」
「わからないが今の俺にはどうすることもできない。」
「あと、一。なんだか最近おかしくない?昔から一のことを見てるからわかるんだけどさ高校に入ってからなんだか常に焦っているような感じがするのは私の気のせいなの?」
やっぱりこの子にはすべてお見通しだそうだ
「たしかに焦っているかもしれない。」
「一は何をそんなに焦ってるの?」
「秘密だよ。そんなことより今涼葉はどうしてるんだ?」
「涼葉ちゃんはね、最近学校で大変みたい。嘘のうわさで避けられてたけどそれが嘘だって発覚してから物凄い掌返しにあって大変みたい。」
少しは予想できたことだが、柚木のいい方的に露骨なんだろう。
「やっぱりそうなったか。」
「それと女子からは毎日のように遊びに誘われてるらしいし、この数日で何人かの男子から告白もされたらしいよ。」
「マジか!告白までするとは大胆だな。涼葉はその告白どうしたんだ?」
「それ本気で聞いてるの?」
「ん?ああ。どう返答したんだ?」
俺がそう聞くと柚木は呆れたようなため息をついた。
「もちろん断ったらしいよ。全員ね。一は悲しくないの?涼葉はちゃんが誰かと付き合っても。」
「悲しくないわけないが、涼葉が幸せならいいんじゃないのか?」
「一!それ絶対に本人の前では言わないでね?もし言ったら私は本気で怒るから!」
珍しく本気で怒っている柚木をみて、柚木は本当に涼葉のことを考えていることが分かった。
隆介といい、柚木といい本当にいい友人なんだと思った。
「わかった。言わないようにする。」
「よろしい。私が聞きたかったことと言いたかったことはこれくらいだけどまだ私に聞きたいことはある?」
「じゃあ、最後に一つ。柚木は涼葉のことどう思っているんだ?」
「なんでそんなことを聞くのかはわからないけどさ、もちろん大切な友達だと思ってるよ。」
「それを聞いて安心したよ。これからも涼葉のことを頼んだ。」
「一それ何目線よ」
そういってクスクスと笑う柚木を見ながら俺はあることを決意した。
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