第24話 一の秘密
「うまくいったみたいだな。隆介!!」
「ああ、おかげさまでな。」
隆介は少し顔が赤くて照れているようだった。
長年の恋が実ったのだから当然か。
「柚木もおめでとう。」
「ありがとう一!」
柚木も少し照れながらも素直に返答をして得くれる。
「どういうこと?一君」
涼葉がそう尋ねてくる。その顔には困惑の色が色濃く浮かんでいた。
まあ、いきなり二人をお祝いする意味は涼葉にはわからないだろう。
「なんだ?柚木は涼葉に話してなかったのか?」
「うん。恥ずかしくて。ごめんね。涼葉ちゃん」
顔を赤くしながら涼葉に謝る柚木
「全然気にしてないよ。」
そう笑いかける涼葉
「にしても、隆介。やっと告白できたんだな!!」
「どういうこと?一」
「ああ、隆介はずっとお前に告白したいって言ってたけどなかなか勇気が出なくて俺に相談していたんだ。」
「おま、一。それは言うなよ。」
「まあ、柚木も似たようなもんだけどな。」
「ちょ、一、それは、」
顔を真っ赤にした柚木が止めにかかる。
(あれだけ相談に乗ったんだからこれくらい許されるだろう)
「柚木も隆介のことが好きだったけど告白して振られたらどうしようってずっと相談してきたんだ。つまり、俺からしてみれば両想いなのにどちらも勇気が出せずに告白しないからとてももどかしかったんだ。」
二人は同時に言う
「そうなのか?柚木」
「そうなの!隆介」
そうして二人のイチャイチャを見せつけられた後二人と別れて涼葉と二人で帰っている。
「本当に二人とも両想いだったんだね。」
「ああ、そうだよ。とは言っても二人とも涼葉といるときはそんな雰囲気を出さなかったからきづかなくても無理はないさ。」
そういって俺は苦笑する。
「そうなんだね。」
涼葉はそういいながら歩く。
俺も涼葉についていく。
「ねえ、一君」
いつになく真剣な表情で俺の名前を呼ぶ。
「どうしたんだ?涼葉」
「一君さ、私に何か隠し事をしてるでしょ?」
そんな問いかけに俺は自身の心臓が跳ねるような錯覚に陥った。
「そんなことないよ。君に隠し事なんてしていないさ。」
俺は涼葉に初めて見せるような穏やかな笑みでそう答える。
大丈夫。”あのこと”はばれていないはずだ。
「そっか、、変なこと聞いてごめんね。一君。」
すぐに引き下がってくれる当たり確信や心当たりはないようだな。
「気にしないでいいよ。」
こうして俺は涼葉を家に送り届けた後にとある場所に向かう。
「…………………………………………です。」
「そうですか。あと……………………ますか?」
「あと、…………………………………………でしょう。」
「そうですか。ありがとうございました。」
そういって俺はその場合を後にした。
家に帰って俺は唯一の親友に電話をかける。
「もしもし。隆介か?」
「ああ、俺だよ。今日はどうしたんだ?」
「実は………………………………といわれたんだ。」
「そうか。」
隆介の声音はとても悲しそうで、苦しそうでもあった。
「まあ、自分で言っといてなんだが、気にしないでくれ。」
「わかったよ。気にしないようにする。」
「あと、今まで通り誰にも言わないでほしい。」
「もちろん。わかってるよ。」
「ありがとう。隆介」
やはりこんなにいい親友を持ったことは俺の人生においてとてもいいことなんだなと思う。
それと同時に隆介に少し俺の事情を背負わせてしまっていることを心苦しくも思う。
それから約1週間後
俺たちはみんなでバスに乗っていた。
「楽しみだね?隆介」
「そうだな!柚木」
もうすでにこの二人は二人だけの世界を構築している。
海から帰った時からずっとこんな感じだ。
「そこのお二人さん。今日はみんなでキャンプに来てるんだから二人の世界から戻ってきてもらえるか?」
俺は呆れながら親友と幼馴染にいう。
「ああ、すまない。つい。」
「ごめんって一~」
涼葉も少し苦笑いを浮かべている。
涼葉も少し呆れるほどのバカップル。
恐ろしい奴らだ。
「そうだよ。柚木ちゃん。私とも話してよ。」
この涼葉の一言で他の三人は笑うのだった。
最近涼葉は自分から会話を振ることが増えていたり笑顔でいる時間が長くなったように感じる。
うれしいことだ。
…………………………………………………………………………………………………
バスが目的地に到着する。
ここはキャンプ場で俺たちは一泊二日でキャンプに来たんだ。
大自然に囲まれた一泊二日心が躍る。
「この前はみんなで海に行ったけど、今度は森だね!!」
そういう柚木の顔はとてもきれいな笑顔だった。
「ほんとだね!!でも、すごい楽しみだよ!!」
そういう涼葉の笑顔もとても美しく、そしてまぶしく見えた。
それと同時に涼葉の笑顔を見ていると心臓がうるさくなる。
なんでこうなるのか俺にはわからないが、きっと考えても仕方ないことだろう。
俺は自分にそう言い聞かせることにした。
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