第23話 告白成功?

 そうして俺と隆介が歩き始めて数分が経過した。

 なかなか見つからずなにかあったのかと焦っているときに近くでちょっとした騒ぎになっているところを見かけた。




「なあ、俺たちと遊ぼうよ~」




「絶対楽しいからさ~」




…………見事に二人は男どもに絡まれていた。

 それも、見た目は皆金髪でチャラチャラした雰囲気を漂わせている男たちに。



 柚木も涼葉もかなりの美少女であるためこのようなトラブルを想定できなかった自分がとても情けなく思える。



「やめてくださいっ!」


 男が涼葉の腕を掴んで引き寄せようとする。


 そう涼葉が叫んでいる。




 何なんだろう?とてもイライラする。

 あの時、勉強会の時に感じたものと似ているもやもやがまた襲ってくる。



「そうそう。私達友達ときてるから邪魔しないで!」


 柚木がそういう。

 柚木は涼葉を庇おうと前に出たところを別の男が柚木の肩を掴み止める。



「あ、」




 隣の隆介が物凄い顔になっている。

 今までで見たこともないくらいに恐ろしい顔だった。

 それなりに隆介とは長い付き合いだがあんな顔を見たのは初めてかもしれない



「一、ちょっと行ってくる。柚木と月風さんのことを頼んだ。」




「ああ。わかった。ほどほどにしとけよ?後で事情聴取はもう嫌だからな。」




「わかってるよ。」




 そういうと隆介は男たちに向かって歩いて行った。




「なんだてめぇ」




 そういきり立つ男の声をよそに俺は涼葉と柚木のもとへむかう。

 隆介が近ずいたことで柚木と涼葉を掴んでいた男の手が離れる。



「二人とも大丈夫?」


 俺はその隙に二人の下へと向かい二人を連れてその場から離れる。


「うん。大丈夫。」




「一君。清水君はどこに行ったの?」




「…………知らないほうがいい。」




「どうゆうこと?」




 そんなことを話していると




「おいっ!横取りか?この野郎。」




 そういって一人の男が近ずいてくる。

 俺が二人を連れて逃げたことに気づいたようだ。

 男はかなりイライラしている。




「隆介うち漏らしてるじゃん。カッコつけたんだからしっかりやってほしいぜ。」




 そういいながら男の腕をつかみ隆介の方向に押す。




「隆介!俺は二人を安全な場所に連れて行くから後のことは任せたぞ。」




「おうよ!!」




 こうして俺は二人をパラソルのある場所に連れて行った。




「二人とも大丈夫だった?」




「うん。なんとかね」




「私も大丈夫!助けてくれてありがとう。一君」




「礼なら隆介に言ってやってくれ。多分もうそろそろ帰ってくるから」




「そうそう。隆介どこ行ったの?」


 柚木がそう尋ねてくる。




「少しお兄さんたちとお話をしに行ったよ。」




「そうなんだ!」




 何も気にしていないように柚木は答える。




 そうして雑談をすること数分




「ただいま。」


 隆介が帰ってきた。




「どうだった?」




「ああ、もうナンパはしないってよ」




「お前やりすぎてないよな?」




 少し不安になりそう尋ねるが




「もちろん!しっかり加減したよ。」




「ならいいんだが…………」




「「何の話?」」




 涼葉と柚木が同時に聞いてくる。




「何でもないよ。そんなことよりせっかく海に来たんだからみんなで泳ぎに行こう!!」




「そうだね!いこっか!」




 そうして俺たちはビーチバレーをして遊んだり、みんなで泳いだりして遊んだ。


 二人ともさっきのことは特に気にしてはいないようだった。

 変にトラウマとかにならなくてよかった。



 海からの帰り道隆介は柚木を呼び止めていた。




「一、月風さん悪いが二人で先に行っててくれないか?」




「おーけー頑張れ隆介」




「わかった!!またあとでね!柚木ちゃん」




 こうして俺と涼葉は歩き出した。


 がんばれ!!隆介。


…………………………………………………………………………………………………


「ねえ、一君。」




「なんだ?涼葉」




「今日はありがとうね!!」




「何がだ?」




「また、助けてもらっちゃった。」




「いや、あれは隆介が助けたようなもんだよ。」


「それに事前に対策できなくてすまなかった。」


「そんなことないよ!あんなの予測できるほうが難しいし、パラソルまで連れて行ってくれたじゃん。ありがとね。」




 そういう彼女の笑顔を見ていると胸が高鳴ってしまうのはどうしてだろうか?




「どういたしまして」

 できるだけいつも通りの声音で返答する。


 心臓がうるさい。

 こんなの初めてだ。

 隣を歩く涼葉の顔をなかなか直視できない。


 俺が一人悶々としていると後ろから



 隆介と柚木が手をつないで歩いて来るのだった。


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