第12話 スパルタ勉強会始まる!!

次の日


俺は約束通り月風の家を訪れていた。


時刻は午前9時50分


昨日は月風の家に行くということを意識していたらなかなか寝付くことができず、最終的に眠りについたのは3時だ。


睡眠時間なんと4時間。

勉強が頭に入るか少し不安だな。


俺は月風の家についているチャイムを鳴らした。


「ピンポーン」


少し高い音が鳴る。




そのほんの数秒後に扉が開かれる。


もちろん扉を開けたのは月風だ。




その服装は白を基調としたワンピースできれいな黒髪と青い瞳を持つ彼女にとても似合っていた。


そんなことを考えながら数秒ほど固まっていると彼女が声をかけてきた。




「そんなに私の顔を見つめてきて、どうしたの?」


君に見とれていたなんてきざなことが言えるわけがない。


そもそも、そんなことを言おうものなら即通報案件だ。




「いや。何でもない。」


俺は自分の顔が熱くなるのを感じながらそう答えた。




「そっか!ならいいや。」


そういって彼女の満面の笑みを見ると自分が悪いことをしたような気持になってくる。


なんかごめんな。

聞こえるわけないと知りながら心中で月風に謝罪をする。




「じゃあ、入って~」


そういわれ、俺は彼女のあとを追う。




「お邪魔しまーす。」


そうして、彼女の家に招き居られる。




招き入れられた先はリビングそこには白と水色を基調した空間が広がっていた。


端的に言うとすごくおしゃれだ。

部屋は白と青で統一されておりまさに清楚って感じ。


「あんまりじろじろ見ないでね!一君!!」


そういわれてしまい俺は月風に向き直った。

どうやら、部屋を見ていたことがばれたらしい。

慌てて月風に向き直る。


「ご、ごめん。」


やっちまった。

女子の部屋をじろじろ見るなんて気持ち悪いよな。


「いいよ~」


笑顔でそう答える彼女を見ると本当にあの時助けてよかったと改めて思った。




「じゃあ、何から勉強する?」


そう問いかけてくる彼女に答えた。




「英語からでっ!!」




この時の俺は知らない。この前俺が軽い気持ちで月風に勉強を教えてもらおうとしたことがどれだけ自分の首を絞めることになるのかを…………




30分後


「そこ違うっっ!何回言ったらわかるの?主語が三人称単数の時はareじゃなくてisなのっ!」


彼女はとてもスパルタだった。


いつもはとてもやさしくて元気が溢れていて笑顔がとてもよく似合う彼女の顔には般若がとりついていた。

こんなに緊張感あふれる勉強をしたのは初めてかもしれない。


「ひっ。ごめんなさーい。」


ちなみに本当に怖い…………

今まで出会った中で一番怖いかもしれない。

こんなギャップがあるなんて誰に想像できようか。



さらに30分後


「そこ!()つけ忘れてる!!」


今度は数学をやっていた。


でも、彼女のスパルタは終わらなかった。

一問間違えるたびに怒鳴り声に近いものが聞こえてくる。

マジ怖い。



1時間後


「もう、無理…………」


俺は完全に疲れ切っていた。

正直怒鳴られ過ぎて、、、

いや、思い出すのはやめよう。

辛くなる。



「そうだね!!もうこんな時間だし、お昼にしよっか?」


そういう彼女の顔にはもう般若はいなかった。


いつものやさしい月風だ。

何なんだこのギャップは!?



「じゃあ、どこかに食べに行こう。教えてもらったわけだしおごるよ」




「そんなの悪いよ!」


と彼女はいつもの調子で言う。




「じゃあ、俺が君に奢りたいんだ。奢らせてくれ!!」


ここまで教えてもらって何も返さない、なんてことはできない。


「わかった!!ありがとね!!」


やはり彼女のは笑顔が似合う。

こんなにも可愛い女の子と二人でご飯を食べに行くなんて、、、

もしかしたら俺は明日には死んでしまうのかもしれない。


…………………………………………………………………………………………………


俺たちは近くのファミレスに入り注文を済ませた。




「そういえば、月風は一人暮らしをしているんだな。」


俺は気になったことを聞いてみる。


「うん!!そうだよ。」


口調はいつもどうりだけど表情が少しばかり暗い。


俺は話を変えようと違う話をしようとしたとき、




「一君って彼女が居たりする?」


彼女がいつもより真剣な声でそう聞いてくる。

まさか、いるわけないじゃないですか。

悲しくなってきた。



「もちろんいないよ。てか、いたこともないよ。」



「そうなんだ!」


そういう彼女はなんだかとてもうれしそうだった。

何故だろうか?



それから、俺たちは昼食を済ませて雑談をしていた。


話す内容は学校のこと以外。

日常生活や休日はどのようにして過ごすかなど様々だった。


「そろそろ戻るか。」



「そうだね!!かえって続きしよう!!」


彼女は満面の笑みでこんなことを言う。


いつもかわいらしい彼女の笑顔が今に僕には悪魔に見えた。




「その前にちょっとトイレ行ってくるわ。」




「いってらっしゃ~い」




トイレに向かいながら思う。


また、あの地獄が始まる。


とても気が重くなりながら用を足してテーブルに戻る。




すると…………

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