第10話 行動の代償と救えた命
あの出来事があってから俺たちは連絡先を交換してそのまま解散となった。
俺は本棚とベッド以外ほとんど何もない自室のベッドで転がりまわりながら叫んでいた。
「あああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「何が「じゃあ、最後に俺を信用してみないか?」だ、気持ち悪ぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
しかも、極めつけは
「俺もさ、虐められた経験があってさ気持ちはわからなくもないんだ。でも、君が死ぬことに意味はない。」だ。
本当に気持ち悪い。
勘違いかっこつけ乙って感じですよね……………………
さらに、あの時の光景が頭をよぎる。
「だったら、俺が君の味方になろう。辛いのも苦しいのもすべて俺にぶつければいい。一人が怖いのなら一緒にいよう。折れそうならば支えよう。だから一度俺を信じてくれ!!」
「あああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
マジでハズイ…………
本当にラブコメ主人公気取りかよ。
気持ち悪すぎる。
本当に死にたくなってきた。
でも、助けられてよかった。
「俺みたいなちっぽけで何のとりえもない人間でも一人の人間を救うことができたんだ。」
恥ずかしくもあり、同時に嬉しくもあった。
そんな一人芝居を部屋で繰り広げていると、スマートフォンの通知がなった。
俺が連絡先を登録しているのは、
幼馴染の「島崎 柚木(しまざき ゆずき)」
親友の「清水 隆介(きよみず りゅうすけ)」
母親の「陰野 奏(かげの かなで)」
父親の「陰野 徹(かげの とおる)」
そして今日追加した「月風 涼葉(つきかぜ すずは)」だ。
スマホを立ち上げて確認すると、送ってきた相手は月風さんのようだった。
『今日は本当にありがとう!!』
こんなに短い文章でもあの時一歩踏み出してとてもよかったと思えた。
「俺の一週間と月風さんの命。天秤にかけるまでもないな。」
俺は一人部屋の中で微笑んでいた。
「だがしかし、勘違いするなよ!!陰野一。これから俺に青春ラブコメなんてものはやってこない。現実を見るんだ…………」
と、そんなことを呟きながら
【どういたしまして。困ったことがあれば何でも相談してくれ】
と、送信して俺は眠りにつくのだった。
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