第7話 拡大する虐め。クルウ太陽

次の日


昨日涼葉を屋上に呼び出していた女子三人が休み時間中にこんなことを言い始めた。


「昨日屋上で涼葉と話していたら同じクラスのボッチ陰キャがいきなり来て、私たちが涼葉を虐めてるとか言い出してさ、涼葉も私たちが虐めてるって言いだしたの。私たちは涼葉と話していただけなのに…………」


そう語る女子たちの顔にはどこか焦っているように見える。


「確かそのボッチ陰キャの名前が陰野一だった気がするんだけど。ひどくない?話していただけで虐め扱いとか。」




俺は少しイライラしていた。女子たちが三人で涼葉を虐めていたのはきっと事実だろう。


だが、それは俺の計画通りだった。


許せないのはその邪魔をしたボッチ陰キャだ。


よくも俺の邪魔をしたな!!


お前も壊してやる。


俺の邪魔をしやがって許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さないユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ


ユルサナイ


絶対にユルサナイ






俺がその話を少し不愉快そうな顔で聞いていたら、グループの男子が話しかけてきた。


「どうした?太陽なんだか機嫌が悪そうだが?」




「ああ、すまない。友達がそんな風に言われて少しイライラしていた。何も話を知らないのにいきなり虐めと決めつけるなんて最低だ!!」




「太陽…………」


女子の一人が嬉しそうに俺を見つめていた。


男子たちが俺の言葉に便乗してくる。


「確かに何も知らないのにいきなり決めつけるのはひどいよな。」


「そうだぜ!その陰野一っやつも涼葉にたらし込まれてるんじゃね?」


「確かに。陰キャなら顔がいい女に頼まれたらすぐに騙されそうだしね。」


「絶対そうだよ。」


と男子たちはボッチ陰キャを悪く言い始める。


これであいつも勝手にこいつらが壊してくれるだろう。


俺は一切手を汚すことなく勝手にこいつらが陰キャを壊してくれる。

ありがたいことだ。


そんなことを考えていると


「てか、涼葉もおかしくない?話してるだけで虐めとか言ってきてさ」


「たしかにー」


「私達超傷ついたよねー」


次は涼葉に話が移る


良い流れだ




その後似たような話が続き放課後


俺たちはボッチ陰キャを校舎裏に呼び出してリンチしていた。


そいつは抵抗せずに暴力を受け続けていた。


「決めつけてんじゃねーよ!!」


グループの男子がそう叫びながらボッチ陰キャをを蹴る。


「お前もどうせ涼葉と同じでろくでもない人間なんだろ!!」


「このゴミが!!」


そうしてしばらくして俺たちは帰った。


いい気味だ。俺の邪魔をするからこうなる。


だが、少し君が悪かった。

一方的に暴力を受けているのにあいつの目には恐怖や怒りなどという感情が読み取れなかった。

まあ、気のせいだろう。

所詮はただに陰キャ気にするまでもないか。


…………………………………………………………………………………………………



次の日からもボッチ陰キャに対する虐めは続いた。


ロッカーに画鋲を入れたり、椅子に画鋲を仕掛けたりと色々だ…………

低レベルな虐めだが少しずつ精神を削るにはこれくらいで十分だろう。


俺や男子がボッチ陰キャを虐めている間にも女子は女子で涼葉を虐めているようだった。






いつこの二人が壊れるのか楽しみで仕方なかった。


俺は帰宅後すぐに自室に入った。


自室はベッドや机などがあり壁にはサッカーのポスターが貼ってある。

俺は制服のままベットに仰向けに寝転がり目を閉じた。

考えていることはあいつらがいつ限界を迎えるかだ。



早くコワレテクレナイカナ


あははははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ


自室にて俺はそんなことばかり考えていた。


そんな狂ったような笑い声が自室に響き渡るのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る