第6話 元凶 谷山太陽の本性と一週間

「あのくそ女が!!この俺が告白してやったのに断るだと、、絶対に後悔させてやる!!」


俺、谷山太陽は叫んでいた。




俺は自分でも顔は良いほうだと思っている。


成績も良いほうだし、運動もできる。


性格も学校ではいい風を装っている。


なのに、


「なんでこの俺が振られないといけないんだ!!」


怒りが収まらない…………


俺は復讐することにした。




まず俺は男友達のグループにメッセージを送った。




「「涼葉がホテル街でおっさんと歩いているところを見たんだけど。」」


もちろん嘘だが


「「マジかよ…………」」


返信はすぐに来た。


「「何それ?パパ活ってやつ?気持ち悪っ!」」


あいつらはすぐに俺の話を疑うことなく信じた。




誰もいない教室で俺の笑い声だけが響いていた。

明日からが楽しみだなぁ~



1日目


俺の計画通りに事は進んでいた。


俺の広めた嘘の情報は男子たちの間で瞬く間に広まった。


涼葉の周りにいた男子たちはいなくなっていた。


涼葉はこの事を気にしていないだろうが、絶対に俺を振ったことを後悔させてやる。




この日の放課後


俺は女子たちにも昨日のメッセージの内容を話した。


最初は困惑していたが、男子たちもその話をしていたので女子たちも信じた。


そこで俺はさらに嘘の情報を話した。


涼葉は女子たちの悪口を陰で言っているということを…………




みんなは面白いほどにすぐ信じた。


やはり俺はみんなにかなり信用されているようだ。




そこからはひどかった…………


女子たちの間で背びれ尾びれがついて広まっていた。

やっぱり女子ってのは怖いな。

だが、その怖さが今の俺にとってはとてもありがたい。



2日目


最初は10人ほどいた涼葉の周りには、もう1人も人はおらず目に見えて弱っていた。


すごくおもしろかった。


最初の笑顔だった涼葉の姿はなく、とても暗い顔をしていた。


そして涼葉が教室からいなくなった瞬間


「涼葉ってパパ活してるんでしょう。」


「みたいだな。あんなおとなしそうな見た目してほんと怖いわ。」


「しかも、裏で私達の悪口言ってるらしいしね…………」


陰口のオンパレードだ。


この様子ならあと一日くらいであいつの居場所はなくなるだろう。




3日目


昨日みんなが陰口を言っていたからか、それとも涼葉が抵抗しないからか


もう涼葉が教室に居ても悪口を言うようになっていた。


同調圧力という奴だろう。


だが、そのほうが俺にとっても都合がいい。


しかもだ、今まで噂が広まっていたのは陽キャの間だけだったがいつの間にか教室に居る生徒全員に広まっていた。


そのおかげか、悪口を言っているのは主に陽キャグループようは俺の周りの連中だけだが、他の生徒は涼葉を無視している。


もう教室では完全に異物扱いだ。

この調子で次は校内全体に広めよう。

そしたらもっと涼葉の居場所はなくなる。




4日目


今日は涼葉が休んでいたが悪い噂は本人が居ないところで広まるものだ。


「涼葉今頃パパ活でもしてんのかな?」


友達が笑いながら言ってきた。


「そうかもな。」


俺も笑いながら答えた。


ここで俺が自発的に悪口を言ったら、俺の評価が下がってしまう。


気を付けなければ。


この噂は今日学校が終わるまでに全校生徒の広まっていた。


大体の人間はみんながそう言うからだとかそんな理由で噂を鵜吞みにしていた。


これで、あいつの居場所はクラスだけではなく学校にもなくなっていった。

計画通りだ。



5日目


あいつは完全に孤立していた。


だが、まだ足りない。


もっと徹底的に壊さなくては…………




昼休みになった。


俺のグループには涼葉を除いた陽キャ全員が集まっていた。


その中には俺のことが好きな女子が三人いた。

まあ、もちろんこんな奴らと付き合う気はないがな。


「この前涼葉に付き合ってくれって告白されたんだけど…………」


俺がそう話すと、


男子たちは


「マジかよっ!パパ活女に告白されるとか災難だなぁー」


「マジでそれ!!気をつけろよ。太陽」


そんな風に笑いながら反応していた。

最初なら羨ましがっただろうが、デマ情報を鵜呑みにしているため同情を向けられる。


「ありがとう。気を付けるよ。」


女子たちは


「なにそれ、意味わかんない。」


「気持ち悪っ!」


「調子乗りやがってパパ活女が!!」


俺に好意を抱いてる女子たちは特に怒りを表していた。




放課後女子三人が涼葉を呼び出しているのに気が付いた。


「計画通りだ。」


俺はそう小声でつぶやいた。


「何か言ったか太陽?」


「いやなんでもない。」


危ない危ない。


きづかれるところだった。






女子たちがどう涼葉を壊してくれるかとても楽しみだ。


俺は下校中笑みが止まらなかった。

次はどんな風に追い込もうか。

そんなことを考えて俺は帰路に就いた。

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