第2話 When you look into the ドリル, the ドリル also looks into you

『そんなこんなで、困り果てた妹女神は、

美しく、優しく、寛大な私を頼ってきました。』


あれ?

気のせいでしょうか

妹女神に煽てられて調子にのって安請け合いしませんでした?


『とは言え、世界の構築育成は女神の試練でもあり、女神ポイントの譲渡や

世界を跨っての建築物や物品の受け渡しは御法度。

そこで古き良き時代からの抜け道にしたがって、

こちらの文化を知っている人間を向こうの世界に送っちゃえば良いんじゃね?

という画期的なアイデアを元に、

お菓子が無いならお菓子を作らせる人間を送れば良いんじゃね?作戦が決まりました。』


・・・・きっとマリーアントワネットですら

送ろうとしている本人を目の前に言わない様な発言を聞いた気がする・・・・・



『パンパカパーン

貴方は塵芥の魂から転生出来るチャンスをゲットしました、おめでとうございます!!

貴方は次の人生の進み方を2つの中どちらかを選んで決められます

1.空気を読んで現在の知識を持って女神様の妹の世界へ転生する

2.なる様にな~れ、現在の記憶と魂の浄化をして新しく生まれかわる』


今での流れを勢いでリセットしたいのでしょうか

しかもなぜだろう、口でパンパカと言ってたり塵芥と言われているあたりで

どちらを選んだ所で雑に扱われる気がするし、選択肢に恣意的な何かを感じる。


そもそも冷静に考えると現在の知識を持ち越せるのは、かなりのアドバンテージに聞こえるが

前世で死んだ時はただの女子高生だったし、困った時はゴーグル君で検索していたのだ

ごグレカスは名言。


つまり1番を選んだ場合は、持っていける知識は大した事が無いのに現代日本の便利さを知っているだけに逆に辛そうだ。

しかも、この手の転生ものは、ドリルヘアーの令嬢に虐められるか、

ドリルヘアーの令嬢に生まれて断罪されるかの2択である。


ドリルヘアーからは決して逃げられない!

何故なら私がドリルヘアーを見ている時、ドリルヘアーもまた私を見ているのだから。


(・・・2番でお願いします。

小声?で思いが伝わる事を願って望みを伝えてみる

届けこの想い!!)


一瞬、ピキッという音と共に周りの空気が緊張した様に感じた。


『あら嫌だ、私とした事が大切な情報を伝え忘れてたわ

こんな事じゃ貴方も迷っちゃうわよね!』


私の答えは迷っていなかった様に思うが、女神様が言うならきっと迷っていたんだろう

うん、きっとそうに違わない

・・・想いは届かなかった。


『通常の転生三点セットに加え、本日転生を選んで下さったお客様に限り、

更に、三点の転生おまけセットをプレゼント!!

電話が繋がりにくくなっています申し訳ありません。』


TVショッキング?

電話をかけてくれている人がいるなら、その人で良いのでは無いでしょうか。

そんなツッコミはとても入れられない。


(私買っちゃう、絶対買っちゃうわ!

一番でお願いします!!)


NOと言えずに流れに合わせてしまう自分を誰が責められるのであろうか

嫌、誰も責められ無い


私の答えに満足したのか

女神様は、何処からぶら下がっているのか分からない紐を引っ張って

『一名様ご案内』と高らかに宣言した。


ガコッと音がしたかどうかは分からないけど

私の魂は開いた穴から下に落下していった


『時間が無いから詳しい説明は転生先で聞いてね~』

(やっぱり、雑ーーーーー)

きっと今回の想いも女神様には届かないのだろう・・・・

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