古の同人女による「かぎりなく黒歴史に近い創作話」

木曜日御前

第1話 限りなくうるさい、私の脳内


 皆さん、創作してますか!

 私は今、メンタルがオワリながらも、がんばって書いております。

 さて、本日(2023年4月末)も元気に創作をしたいなと思いまして、どの作品を書こうかなとおもうのですが。

 やはり『星降る世界の龍仙師』は書き進めないとでしょうか。

 それともデスゲームコンテストに出している『エンゼルプレゼンテーション』を……


 一人作業机の上で、頭を捻る。

 ああ、どうしようかと想像した時、私の脳内で誰かが私の隣に立つ。


「作者さん、えっちいの書かないんですか? ずっと書きたいって言ってるのに」

 隣を見れば、ショートカットで男子制服を着た少女。

 彼女は名前はまだない。しっとりと笑う彼女の後ろには、まだ名前のないサラリーマンが困ったように立っている。

 たしかに、それも良いかもしれない。最近健全なのばかりで、気がそれた瞬間、今度は違うやつに頭を捕まれ、振り向かせられる。


「いやいや、こっち書こうよ! てか、カクヨムに出せばいいじゃん」

 そう大声でツッコムのは『しんせかいさんぽ』というカクヨム未掲載作品の主人公・ヒマラヤ。筋肉ムキムキの腕で、私を容赦なく揺さぶる。たしかに、作品を勧めなきゃいけないのは確かだ。じゃあ、こっちかと手をその作品に手を伸ばそうとすると、伸ばした手をガッと誰かに掴まれた。


「作者、デスゲーム、あと三十話近く書かないとだよな」

 酷く唸るような声、思わず見上げれば、随分くたびれたグレースウェットの男がぎりぎり睨みつける。

 そいつの名前は、持田。『エンゼルプレゼンテーション』の主人公である。


「まあ、思いつきで私をから、首を締めましたね」

 その後ろで、優雅にはハープを鳴らすのは、この前深夜テンションで書いて、世に放った吟遊詩人。

 優雅な様子でそれだけを言うと外に出ていく。

 そんな中、困ったように頬を掻き、私の肩を掴むのは軍服に身を包んだ青年だ。

「まあ、今から二本くらい書けますよ。龍仙師、これからが面白いんですよね」


 その青年の名前はリュウユウ、『星降る世界の龍仙師』の主人公だ。

 私は彼の言葉を受けて、現実の世界で思わず項垂うなだれる。


 私の頭には、各作品の登場人物たちが訪れる。

 名前がある子も、ない子も、なんならば受肉せず概念しかない子も。

 訪れるのだ。


 その様子は、古の同人小説にあるあとがきのよう。

 または、「くぅ疲」と呼ばれる有名なコピペのよう。

「登場人物と作者の会話」という、所謂サムイ状況のよう。

 サムイと感じなかった貴方は、そのままの君でいてほしい。君が大好きだ。


 さて、こんな脳内大混乱が常に起きている私。

 仕事中も、寝ている時も、食事中も、ライブ中も、推しとの逢瀬中も、奴らはやってくる。


「この設定使えるよね」

「この感動って言葉に表してみてよ」

「この光景次の舞台にどう」

「この部分変えようよ」

「えっちいの書くぞ」


 唐突にやってきて、私の意識を乱す。

 特にランキングに乗るテクニックも、創作に対する熱意ある意見も、この小説には特にない。でも、誰かがこの話を読んで楽しんでもらえたらオールオッケー。

 ただただ、登場人物たちと共存するそんな私の創作話。

 少しずつ書いていこうかなと思う。ちなみに、これを書いてると、後ろから「そんなことしてる場合じゃないだろ!」という声が聞こえる。勿論、聞かないふり。作者はわがままなのだ。


 最後に、皆様に質問。

 これ、創作論なのだろうか……?

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古の同人女による「かぎりなく黒歴史に近い創作話」 木曜日御前 @narehatedeath888

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