第21話 連絡遮断
「取り敢えず刃物は回収できた」
協力者である勇者、二人を俺は撃破した。
これで、現代人が俺に対抗する方法は、ゼロに等しい。
だが、一つ気掛かりがある。
防衛省が殲滅を発表した時に、一緒に居った仮面の人物。
仮面の人物は、セルピコでもリズとも違う。
だとしたらあの仮面の人物は誰だ? 俺はリズとセルピコを撃破し、現代人の協力者は消えた筈。
それでも嫌な予感がして仕方ない。
セルピコとリズ以外に、協力者がいるかもしれない。
「……一回セロスに連絡を入れてみるか」
パージとの戦闘で、結構な時間が掛かった。
そろそろあのコインの解析もできている筈。
と、思い懐にしまっているスマホを取り出す。
スマホの画面はバキバキに割れ、もう変えた方がいいレベルだ。
「世界を壊したらスマホを使う機会ないな」
だからスマホを変えようとは思わない。
まずそもそも、スマホを変える金は持っとらん。
俺はスマホを弄り、自宅へと電話を掛ける。
ブルブルと着信音がなるが、一向に繋がる気配がない。
何十コールかで電話は切れる。
可笑しいな? セロスがまだ解析してる可能性はあるかもしれない。
だが、その場合クリスが電話に出る筈だ。
つうか、俺がクリスにこの世界に来た時、命令をした。
それにクリスは、もう家にいる可能性が高い。
「はぁー、家に戻るしかないか」
俺は溜め息を吐き、重い体を動かし、自宅に向かって歩く。
くそ──気を少しでも抜くと、倒れかねない。
「体力がほとんどない」
体力が完全に切れる前に、自宅に着かないとな。
俺は走り出す。
数分──数十分、走り出し、一つの家以外は氷結や、炎で広まっている。
やっとここまで帰ってこれた。
俺は自分の家であり、唯一無事な家に入る。
「気配を一切感じない」
何かが可笑しいと思い、家を散策する。
だが、何処にもクリス以前に、セロスもいない。
ただ、リビングの机に紙とコインが合った。
俺は紙を手に取る。
『クロム様誠に申し訳ありません』
「これはセロスの字」
だが、彼奴日本語書けたのか? 俺は書き方も文字も教えてない。
一体何処で知り書いたのだ。
それにこの紙は──置き手紙と、捉えてもいいだろう。
『コインの謎は解けませんでした。そして私とクリスは、偉大なる神に着いてきます』
また偉大なる神か。
その神とやらにセロス達は、着いて行った。
と、一体その偉大なる神とは何者だ? あの黒衣の人物。
それにセロス達を連れて行った。
「コインの解析もできなかった。それに仲間を失ったか」
……俺は一体何をしているんだ?
「クソがぁぁぁぁ!」
俺は目の前にある机を叩き割る。
偉大なる神に振り回され過ぎている。
何故だ? 俺は偉大なる神にここまで振り回されるのか。
全てが分からない。
だからこそ怒りが沸いてくる。
「俺は一体何をすればいい?」
ジャンヌは中立──だから話しを、聞きにいくだけ無意味。
少女に会いにいくか? いや何処にいるか分からない。
またあの少女から、会いに来るとは思えない。
フゥっと俺は息を吐く。
一体どうした物か、どうすれば偉大なる神に辿り付けるか。
考えれば考える程──頭が痛くなる。
「ここまで頭が痛くなるとはな」
だんだんと考えている間に、体が無性に脱力感を覚える。
バタンと倒れ、俺の意識が途切れる。
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