第13話 少女とデート!?

「どうしますか?」

「適当に暴れ回るか」

「うっす!」


 今のまま闇雲に探しても、無駄な時間が過ぎるだけだ。

 ならば、再び復讐を始める。

 その中で色々と探る。

 俺の邪魔をする奴がいるならば、必ずぶっ潰す。

 もう何もかもどうでもいい。


「じゃあ魔法使いますか?」


 クリスの言葉に俺は何も言わない。

 ただ、指をパチンと鳴らした。

 次の瞬間、クリスの前方に巨大な魔法陣が展開される。

 黒く──魔素が溢れ出す程の強力な魔法陣。

 このまま放たれると、思ったその時、魔法陣の前に一人の少女が立ち塞がった。

 俺はその少女に見覚えがある。

 背中にまで伸びている艶のある黒い髪。

 左右の瞳が違う。

 左は赤い右は青。

 どっちも綺麗な目の色をしている。


「待ってクリス」

「!?」


 俺はクリスに、魔法を放つのに待ったをかける。

 クリスは一瞬、驚いてたが、すぐに魔法陣を解いた。


「一体何の様だ?」

「これ以上街……国を破壊するのはやめて下さい!」

「じゃあ俺を止めるのか? お前には聞きたい事がいっぱいある」

「きっとそうでしょうね」


 さてと、一体どうしたものか。

 この少女の事を簡単に消す事はできる。

 だが、色々と話を聞かないといけない。


「チッ」


 思わず舌打ちをしてしまった。

 本当にある意味厄介でめんどくさい。


「国を破壊する代わりに、貴方が知りたい情報を教えます」


 こいつ一体何を考えてやがる? この俺が素直にその条件を、聞くとでも思っているのか。

 そうだとしたら、相当能天気な頭をしている。

 ……だが、こいつから情報を聞き出さないと、いけない。

 その為、俺はこの少女の条件を飲まないといけない。


「分かった、破壊するのはやめてやる。早速その情報を教えて貰うか」

「ちょっと待った! そんな催促をしないで下さいよ」


 ブチってキレそうになった。

 このクソガキが、調子に乗りやがって──情報を聞き出したら必ず殺す。


「貴方には私とデートをして貰います!」

「……は?」


 少女から言われた思わぬ言葉に、俺は腑抜けた声で反応をした。

 いやまじで、この少女一体何を考えている!? 理解ができない。


「まぁいきなり言われれば、流石に驚きますよね」

「頭が痛くなってきた。俺は何の為にお前とデートをしないといけない?」

「私の気まぐれです」


 うわーめっちゃいい笑顔。

 普通に少女は端正な顔をしている為、どちらかっていうと、可愛らしい。

 だけど、何だろうこの笑顔。

 すげぇ腹立つ!


「あのクロム様、俺は一体どうすればいいでしょうか?」


 申し訳なさそうにクリスが、聞いてくる。


「クリス、お前は先に帰っとけ」

「あ、分かりました」


 じゃあ俺はこの少女とデート。

 ──デート!? 待ってデートって何をすればいいんだ? 生前の頃なんか一回もした事がない。

 だから、デートがどういう物かわからない。

 だが、この少女から情報は聞き出したい。

 くそー俺は一体どうすればいいんだ。

 その時、少女が俺に提案をしてくる。


「私が先導でデートをしましょうか?」


 く、うぅぅ……


「頼む」


 ああくそ! すげぇ情けねぇ、顔から熱を帯びている。

 思わず顔を背けてしまった。

 多分、少女は笑っているだろうな。

 渋々、俺は少女の方に顔を向けると、心配そうな表情をしていた。

 いやそこは馬鹿にしろよ!


「はぁもう疲れた」

「な、何でですか!?」

「もう何でもいい。お前先導でデートをしてくれ」

「なんか腑に落ちないけど──分かりました」

「お前が提案してきた事だろうが!」


 駄目だ、この少女といると全てが狂う。

 ただ、今は全てに置いて我慢をしろ。

 情報を聞き出したら、この少女は殺す。


「それじゃあ行きましょ!」

「ああ、それでなんだその手は?」


 少女は俺の言葉に首を傾け、分かってない様な様子。

 今俺の前には少女の手がある。


「え、デートって言ったら手を繋ぎませんか?」

「………」

「無言やめて下さい。ちょっと怖いです」


 俺はこの少女と、手を繋がないといけないのか? 少し躊躇っていた。

 その直後、少女が俺の手を引っ張り、歩き出す。

 ……手を離せばいいのに、俺は離そうとしなかった。

 そのまま、少女に導かれる様に連れ回された。

 その中で俺は少しだけ、過去の事を思い出す。

 生前の頃の記憶。

 小柄で元気がよく、

 少し感傷気味になっている時、少女が声を掛けてくる。


「着きましたよ!」

「遊園地?」

「はい、一回来てみたかったんですよね」

「来る相手がよりによって、国を破壊しているテロリストか」


 俺は皮肉のつもりで言った。

 手が離れたと思ったその時、少女は真剣な眼差しで見てくる。


「私は貴方だから来たんですよ!」

「それはどういう意味だ?」

「それは後で、貴方が知りたい情報と共に教えます」

「分かった」


 今はただひたすら、こいつの言う事を聞こう。

 遊園地なんて来た事ないな。

 と、考えていると。

 その時少女にそのまま連れ回された。

 色んな乗り物に乗せられ、少女は楽しそうにしていた。

 俺は見事に乗り物酔いをして、ぐったりしている。


「大丈夫ですか?」

「大丈夫と思うか?」

「えっと思わないです」

「なぁそろそろ情報を言えよ」

「分かりました」


 少女が俺に情報を言おうとした。

 その直後、少女の下にナイフが飛んでくる。

 俺はそれを掴み、少女に言う。


「お前はこれでもこの国を守りたいと思うのか?」

「え? 私は……」

「お前には悪いが、俺にはこの国に価値を感じない」


 指をボキボキ動かし、ナイフを飛ばした方向に体を向ける。











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