第12話 宣言

「も、もしかしてクロム様──」

「どうしたのクリス?」


 どうやらクリスは気付いた様だな。

 反対にセロスはまだ気付いてない様子。

 一々、俺の体内から魔素がなくなったと、教える必要はない。

 魔素がなくても、この世界に対する復讐は続けれる。

 少し派手な事が出来ないに過ぎない。

 まだ救いなのは、異能と人間離れした身体能力があるって事くらい。


「クロム様、次の行動はどうしますか?」

「次の行動か……」


 一体どうすればいい? ただ闇雲に復讐を続けてもいいのか? 偉大なる神と名乗る集団? を潰すのが最優先。

 くそ! 考えれば考える程、行動に移せなくなる。

 と、思った。

 その時、俺の手にはコインが合った。


「あ、そうだ。セロス」

「はい。何でしょうか?」

「このコインの事を早急に調べろ!」

「え? あ、分かりました」

「クロム様。そのコインは何ですか?」

「知らねぇ──俺の今後に必要な物だ」

「え?」


 クリスは俺の言葉に困惑していた。


「クリス。お前は俺に付いて来い」

「あ、はい」


 俺はクリスを連れ、外に出かけある程度、家から離れた後。

 クリスに言う。


「お前回復魔法使えたよな?」

「え、多少ならば使えますか」

「まぁいい、俺に回復魔法を掛けろ!』

「分かりました」


 クリスは魔素を溢れさせ、俺に回復魔法を掛ける。

 だんだんと痛みがなくなり、体が回復したのがわかった。


「クリス。お前が思う通り、俺はこの魔道具で魔素を消された」

「え、それ!? 持って来たんですか?」

「ああ、セロスが言ってただろ? 俺に匹敵する奴が来てると」

「確かにそうですけど」

「そんな奴、居らんと思っているだろ? 残念な事に一人いる。そして、俺の魔素を消し、傷を負わした奴もいる」


 今、思い出すだけでも腹が立ってくる。


「それでこれからどうするんですか?」

「俺らの邪魔になる奴らを潰す」

「居場所分かるんですか」

「分からない。だから俺とお前で探すんだよ」

「わ、分かりました」


 探すのはいいが、まずどうやって調べるか。

 と、思った矢先、ジャンヌが歩いていた、

 それを見た俺は、歩いてるジャンヌを捕まえた。


「い、いきなりなに!?」


 ジャンヌはいきなり捕まえられた事に、驚きを隠せていなかった。

 クリスは何故か明後日の方向を見ている。


「会った瞬間。捕縛するのはどうかと思うよ!?」

「お前に聞きたい事があるんだよ。あのコインについて詳しく知っているよな?」

「え、まぁうん」

「詳しく教えろ」


 あのコインの事をジャンヌに、問いただした。

 だが、ジャンヌは口角を上げ、冷たい声色で言う。


「それは残念ながら教えれない」


 やはりこいつは何かを知っている。

 だけど、意図的なのか、俺の問いには答えようとはしない。

 さてと、どうやってこいつから情報を聞き出そうかと思った。

 その時、ジャンヌは俺に指を指す。


「何のつもりだ?」

「答えは君の中にある。前も言ったけど、ボクは中立だよ」

「そうだったな、邪魔して悪かったな」


 ジャンヌは俺の言葉に何も返さず、不気味な笑みを浮かべている。

 俺は少し──勘違いを、していたのかもしれない。

 あの時、俺に協力的だった。

 だから完全に俺の味方だと思ってしまった。


「どうしますかクロム様?」


 一体どうすればいい? ジャンヌから情報を得られない。

 俺が復讐の行動をする時に、邪魔を入ったのを潰していく方がいいのか。


「クロム様、あれを見て下さい!」


 クリスは指を指す所に見ると、大きなモニターがあり、そこには二人の人物が映った。

 一人はスーツを着た老人に、もう一人は仮面を付けた人物。


「なんだあの仮面の奴?」

「皆さん。どうも防衛省の高橋です。国家転覆を、狙っているテロリスト。我々防衛省は本気で殲滅をします!」


 テロリストではないが、俺と本気でやる気か。


「テロリスト──破壊者デストリシャを殲滅します!」

「──クロム様」

「面白いじゃねぇか」


 魔法が使えないのが、丁度いいハンデだ。

 俺は拳を合わせ、クリスに言う。


「クリス、これから面白くなるぞ!」

「クロム様楽しそうですね」


 クリスは少し引き気味で俺を見る。

 お前に引かれるとか、心外でしかない。

 俺はお前と違い、戦闘狂じゃない。


「ねぇあれって自衛隊を壊滅させた」

「多分そうだよね?」

「「魔王」」


 魔王と言う単語が、俺達の耳に届いた。

 その瞬間、俺は一人の少女の事を思い出した。

 一番初めに俺に魔王といい、気になる事を言って消えたあの少女。

 もし次、見つけた時、あの時言った言葉の真相を聞く……か。



 

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