第14話 戦いの狼煙

破壊者デストリシャ。ここで命を貰うぞ!」

「こんな人がいる場所でやる気か?」

「勿論、一般人は避難させて、お前を討つ」


 避難させると言う割には、混乱が起き、慌てて逃げている。

 数はどのくらいだ? 目視だけで数十人から数百といった所か。

 自衛隊とは全く違う装備。

 だが警察の特殊部隊SWATの時と同じで、装備から魔素を感じ取れる。

 一体誰だ? 現代人に力を貸してる奴は? 思い当たる奴なんかいない。

 それでも一つあるとしたら、防衛省の人間と一緒にいた仮面の人間。

 刹那、俺の方向に無数の弾丸が飛んでくる。

 これを避けるのは簡単だ。

 だけど、俺がこれを避けた瞬間、少女に当たる可能性はある。

 それでも俺があの少女を、守ってやる道理は一切ない。

 このまま弾丸を避ける……


「え? なんで」


 少女の驚く声が聞こえる、次の瞬間。

 俺の前で弾丸は全て止まっている。


「ああ、本当にめんどくせぇな」


 何故あの瞬間、自衛隊と対峙した時の事を思い出した? あの時の子供と少女を重ねてしまった。

 だからっといって、異能を使ってまで、助ける必要なんか、なかったかもしれない。

 兵士達は容赦なく、再び乱射してくる。

 だが、それ全ての弾丸は前方で止まる。

 この弾丸──邪魔だな。

 俺は前方に向かって指を弾く。

 その直後、弾丸は全て兵士達に当たる。

 兵士の一部は怯まずに立っていた。

 他の兵士は痛みに苦しみながら、その場に倒れ込む。


「根性あるな、でもな俺の前では無意味」


 兵士達に突撃をしようとしたが、その前に地面を蹴り上げ砂埃を起こす。

 一瞬の出来事に兵士達は硬直している。

 頭が追いついてないんだろうな。

 と、思い──音を消して兵士に近寄りナイフを拝借する。

 そのまま流れる様に銀閃を走らせる。

 兵士達の背後近くの場所に立ち、兵士の方を見ながら、血塗れになったナイフを振う。

 血は地面につく。

 それと同時に、立っている兵士から、血飛沫が舞う。

 そのままバタンと勢いよく倒れる。


「魔素を纏わせた装備をしていてもな、生身の部分を隠せていないならば、こんなちっぽけな刃物でも簡単に殺せる」

「この化け物が!?」


 生き残っていた兵士が思い切り叫ぶ。

 まだ一人だけ残ってたか。

 すぐに終わらしてやる。

 地を軽く蹴り、生き残りの兵士の眼前にまで行き、胸元に深々とナイフを刺す。


「これでお前もお仲間と同じ場所だ」


 兵士は喋る事もなかった。

 ナイフを抜く──直後、血飛沫が俺に掛かった。

 これで戦いは終わった。

 後は少女の下に行って、情報を聞き出そうと考えていた。

 だが、実際まだ戦いは終わっていなかった。

 この戦闘はただの狼煙に、過ぎない事を俺は嫌って言うほど知る羽目になる。





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