第11話 魔素の消滅

「とは言え、このコインをどうやって調べる?」


 魔素も戻る可能性が低いし、元々俺は鑑定の魔法を使えない。

 セロスに頼るしかないが、二週間以上経過している。

 それなのに一切、連絡がない。

 あいつらに一体何か合ったか? だとしても何か連絡は送って来るだろう。


「い、いてぇぇ」


 全身は未だに痛み、物凄く重たい。

 少しでも体を動かそうとすると、激痛が走る。


「く、くそ、体が重たいし、激痛も走るせいで、復讐の行動も移せない」


 もしこのまま魔素が戻らないならば、少し厄介な事になる。

 あの黒衣の人物の話しもそうだ。

 あの時、彼奴は……。


『ワタシ達は偉大なる神の下に集り、禁忌の勇者を打つべし』

「神ね……」


 俺はどうやら神とは切っても、切れない様だ。

 ジャンヌも確かに神と言った。

 そしてあの黒衣の人物も神と言った。


「神秘な神と偉大なる神か」


 前者は分からないが、後者に至っては俺に敵意を剥き出しだ。

 それにこのコイン。

 これが、もしかしたら偉大なる神と、関連性はあるって考えるのが妥当か。


「もしそれが事実ならば、ジャンヌは何かを知っている感じだったな」


 俺はジャンヌにコインを、手渡された時の事を思い出す。

 ──考えていた時、急に眠気が襲ってき、瞼が重たくなり、だんだんと、意識が遠くなる。

 その直後、俺の意識は途切れる。


「き、貴様、勇者の癖に何をしやがる!」


 ん? 何だ声が聞こえる。

 それもどこかで聞いた事がある声。

 声のする方に目をやると。

 片目を潰されいる屈強な男と、それに対面をし禍々しい剣を持っている男がいる。

 その二人に俺は見覚えが合った。


「俺はな勇者って肩書きが嫌い何だよ!」

「このくそ勇者め!」


 これは──俺の過去。

 俺が禁忌の勇者と呼ばれる所以になった。

 出来事の一部。

 今更こんなのを何故思い出す? 何か意味があるのか。

 刹那。

 目が覚め、体を起こすとそこには!?


「セロスにクリス!」

「クロム様!」

「連絡するの遅れて申し訳ございません」


 どうやらセロス達は、何事もなく、無事だった様だ。

 

「そんな事はいい。セロス調べられたか?」

「はい、これは少し驚きな事ですが」

「言ってみろ」


 セロスは険しい表情をしながら、俺に結果を言ってきた。

 その結果に俺は納得もでき、だが驚愕もする内容。


「結論から申しますと、我々が住んでいた世界の者が、こちらに来てます」

「だろうな。こっちの世界の人間が魔素を持つ訳がない」

「それと、これは調べている関係の憶測何ですが」

「言ってみろ」

「クロム様に匹敵する程の魔素を持つ者が、この世界の人間に力を貸してる可能性はあります」

「そうか」


 やはりな……俺に匹敵する力の一人はジャンヌ。

 彼奴は自分から言ったからな。

 だが、一番考えられるのは黒衣の人物。

 あ、そうだ、セロスがいるならば──これを調べて貰うか。


「なぁセロス。この刃物から何か感じるか?」

「え? あ!? これは」

「その様子だと何か知っている様だな?」

「あっちの世界に居る時に見た事があります。それは魔滅具マナデスピア


 うん、全然その名称言われても分からん。

 だけど、セロスはなんか誇らしげな顔しているから、まぁいいか? 本当にいいのか? 自分で思わず自問自答してしまった。


「お前な名称だけ言ってもわかんねぇよ」

「あ、確かにそうだ」


 クリス、ナイス! 俺は小さくガッツポーズをする。

 セロスはコホンと、咳払いをし説明をする。


「体内にある魔素の流れに、異常な変化をさせ、上手く錬る事が出来ずに消滅させる」

「何だそれ!? 魔法師殺しの武器じゃねぇか」

「そうだよ──だからこれは。王国でも禁止指定魔道具」


 セロスの言葉を聞き、クリスは険しい顔をして、セロスは悲しそうな表情をしている。

 俺はセロスの説明を聞いて、あの時何故、俺が簡単に刃物で刺され、魔素が回復しないのが分かった。

 この魔道具で俺は魔素を消されてしまった。

 どうやらやっこさんは、俺を本気でやるつもりか。 

 それならばこっちはこっちで、対処を考えないといけない。

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