第7話 クロムと国家の激突!!

 神の加護か──俺は一番ほど遠い事をしている。


「つうかよくよく考えたら、ジャンヌと言う名前聖女じゃねぇか」


 言い方もまるで聖職者だったな。

 俺は足に軽く力入れ、立ち上がる。

 腕を組み──体を伸ばす。


「さてと、そろそろ俺も行くか」


 ジャンヌと同様に屋上から飛ぶ。

 落下している間、空気抵抗を押し殺し、コンクリートで、出来た地面に着地をする。

 直後、地面に大きな圧力が、掛かった様に削れている。

 周囲には多数の人間が居り、俺を見た瞬間。


「キャッッ!」


 と、悲鳴を上げる。

 耳障りだなと思いながら、首に手を置きポキポキ鳴らす。

 周囲の人間は俺に恐怖を覚えたのか、逃げ回る。


「流石に逃げるはな」


 逃げ回る様を見るのは滑稽だった。

 ただ逃げる時に一々、叫ばれるのは鬱陶しい。

 だんだんとイライラし、近くに合ったビルを蹴る。

 次の瞬間、俺の足先から触れているビルの場所から、崩れ落ち──倒れて来る。

 俺含め、たくさんの人間が巻き込まれる。


「あ、鬱陶し」


 ビルに押しつぶされ、俺は拳を振り脱出をする。

 倒れたビルを見ると、大量の血が流れていた。

 人が倒れ──死んでも何も思えなくなった。


「……家族以前に俺の存在を、この世界は忘れた。だから俺は全て壊す」


 気が済んだ俺は、立ち去ろうとした。

 その時、小さな子供が俺に近寄り、喚きながら攻撃をしてくる。


「返せ! ボクのママを返せよ」


 どうやらあのビルの中で、一人だけ生き延びいた様だ。

 ひたすら泣き喚きながら、殴ってくる。

 痛くも痒くもないが、流石に鬱陶しいな。

 拳を握り、振りあげた瞬間。

 子供ながら覚悟を決めているのを見て、殴る気が失せた。

 俺は子供の目線に合わせ言う。


「俺の事が憎いか?」

「憎い。こ、殺してやる」

「だったら俺を殺してみろクソガキ」


 子供に告げ、俺は今度こそ立ち去る。

 背後から子供の殺意が感じ取れる。

 まるで黒い炎が宿ってる様な殺意を、あの子供は持っていると思えた。

 だからなのか、俺はあの子供を見逃した。

 刹那……背後から銃声が聞こえた。

 その銃弾は俺に当たる事はなく、視界に映る事もなかった。

 不思議に思い……後ろを振り向き見ると、さっき俺に啖呵を切った、子供が血を流し倒れていた。


「何故?」


 自分で出した言葉に、驚きを隠せずに銃を撃った奴に視線を向ける。

 視線の先には銃を持った迷彩の服を、着た人間が居った。


「お前ら軍人だよな」

「………」

「国内で戦争を起こす気か? 俺を撃つならばまだしも……なんで子供を撃った?」


 俺は自衛隊に強い圧力を掛ける。

 自衛隊は一瞬──怯み、後退した。

 その中で一人だけ、俺の前に現れる。

 軍服にはいくつ物の勲章が合った。


「貴様が例のテロ犯だな」

「テロ犯? 言ってる意味が分からない」

「何をほざいている、〇〇市の件に今現在の状態。それにSWAT大量殺人の現場。国家転覆を狙っているテロリストめ!」

「俺はテロリストになった覚えはない。言っても無駄か、だったらこれだけ答えろ。何故子供を撃った?」

「子供? ああ、射線におる奴が悪い」


 どうしてだろう? あの子供は俺に一切関係がない。

 なのに子供を撃たれた事に、激しい怒りを覚えている。

 分からない、分からない……なんでこんな感情が、出てくるのかが分からない。


「ああ、悲惨な事態だねー」

「何だ貴様? テロリストの一味か!?」

「あれれ? 君テロリストだったの?」

「……お前ならば、俺がテロリストか、どうかくらい分かるだろ?」

「あははは、バレちゃったか」


 ジャンヌ、いつ現れた? 自然と話しているが、不意に現れた。

 薄々気付いてたが、やっぱりこの女……現代人じゃない。


「ボクに変な詮索をしている場合じゃないでしょ? それでボクは何をすればいいの?」

「何をごちゃごちゃ話している!?」

「お前は中立じゃなかったのか」

「あれ忘れたの? 場合によっては味方と話」

 じゃあ今回は後者か」


 ジャンヌは何も言わずに頷いた。

 もう話す事はないってか。

 それでも俺は別に構わん、こっちで勝手に指示をするし暴れる。

 俺が拳を作りもう片方の手で、キャッチをした瞬間。

 場の空気が一瞬で変わる。


「い、一斉射撃開始しろ!」


 男の怒号を合図に俺と、自衛隊の戦闘が始まる。


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