5-2 インペリアル・サガ(ストーリー編)~死食シナリオが神スパロボに変わる時~
ゲームシステムについては、前半が壊滅的で後半で奇跡的に持ち直した感が非常に強いインサガ。
しかし実は、ストーリー面でも全く同じことが言えたりします。
曲がりなりにも創作に携わっている者として、インサガのストーリーの変遷には触れておかねばなるまい!
(※ここより、インサガシナリオ(前半部分)とエンサガシナリオへの批判的表現が頻発します。
苦手なかた、及びインサガ光ルート&エンサガファンのかたはご注意ください※)
インサガのストーリー前半部分、通称「光ルート」は――
創作、中でも特に二次創作において「やってはいけないこと」を次々とやらかしてくれた印象です。
シナリオ担当は前作のエンサガと同じかたですが、エンサガも含めて「まぁ酷い」という感想しかない。
ゲーム内でエンサガのストーリーも読めたのでチェックしてみましたが、よくもまぁこれだけの地雷をバンバン踏んでいけるものだと逆に感心してしまうレベルでした。
他山の石とするべく、その特徴をあげていきたいと思います。別名・「二次創作でやっちゃダメなことリスト」。
その1 原作にいないオリジナルキャラが目立つのは勿論、原作でそこまで特徴もなく目立たなかったキャラが妙な個性をつけられ、異様に出張る
原作の雑魚敵が謎に女体化したりとかも頻繁に見る。
それに比して、原作のプレイアブルキャラは(原作主人公であっても)申し訳程度の出番しか与えられない。明らかに、オリキャラや制作者の贔屓キャラ(=半分オリキャラと化した原作キャラ)ばかりが目立っている。
オリジナル主人公が目立つのはともかく、原作キャラをオリキャラ化して贔屓はなぁ……
その2 あまりにもあっけなくキャラが死亡する。ヘタすると大量殺戮される
原作キャラは勿論、オリジナル主人公であっても容赦がない。しかも仲間に裏切られたとか、知らないうちに重傷を負っていたとか、罠にかかって一気に全滅したとか……原作であれだけ心も体も強くしたはずのキャラがそんなんで裏切るの?そんなんで死ぬの?と思わされるパターンが非常に多かった。
原作キャラだろうと主人公だろうと殺してしまう、シリアスで闇深い世界観? 違うだろう!!
その3 光やら闇やら、わけの分からない厨二ワードの多さ
ことあるごとに「うぅ……闇に呑まれる……」などと呟きながら、どっから湧いたか全然分からない闇にキャラクターが一方的に蝕まれる話だらけ――というイメージがものすごく強い。
最終的にキャラが転生とか融合とかを繰り返して
闇に染まった原作主人公が悪役として無限分身して登場なんていうカオスな場面も……
最終皇帝男ファンはキレていいと思う。
その4 唐突すぎる展開の数々
前回シリアスな話をやっていたと思ったら、唐突にキャンプで卵焼きが始まったり、唐突に娼館らしき場所へ行ったり、主人公そっちのけで全く無関係の脇役の話が始まったり(しかもそのキャラはその話が初登場、さらに言うと原作ではただの雑魚敵)
次元移動装置が唐突に開発され、色々な次元で人助けをして仲間を増やそう!という流れになったはずが、何故か次に行くのが比較的平和な雪だるまの街。しかも唐突に街が炎上して雪だるまたちが壊滅する話まであったような(インサガかエンサガか忘れたが)
逆に、重要な部分であるはずなのに雑なナレーションにより端折られる描写も結構ある。例えばインサガの章変わりの部分とか。皇帝が戦死したりなどの重大なストーリーが全部ナレーション……
全体的に、どうしてそうなったのかの流れが解せないことが多い。
その5 原作とかけ離れたキャラの台詞・ありえない行動の数々
有名なのは最終皇帝ロックブーケとか、原作では宿敵だったはずのホークと何故か仲が良いブッチャー(そして本来の相棒たるゲラ=ハが無視されがち)とかですが、個人的に特に衝撃だったのはコレ↓
オウルの幻に惑わされ、闇に呑まれかけるクローディア。これだけでも若干解せないが
そんな彼女にアイシャが「オウルがいるわけないよ。だって、あの魔女は死んだんだから」
……
……
言うはずがないだろう! そんなことを! アイシャが! クロ様に!!
(クローディアがオウルを看取る場面にアイシャが立ち会い、彼女とオウルの心情を知っていたならこんな台詞が出るわけがないし、立ち会っていないならそもそも「死んだんだから」という断定口調になるのがおかしい)
……とまぁこんな感じで。
あのシナリオに関する文句はこれでもまだまだ足らないですが、ひっくるめて言うと
「サガシリーズは自由だ! 何やってもどこへ行ってもいいんだ!!」を大きく履き違えている感が強い。
サガシリーズにおいて、プレイヤーの行動は確かに様々な選択肢があります。
どこへ行くも自由、何をするのも自由。多くを語らず、想像の余地を残すストーリーも魅力の一つです。
しかし、だからといって本筋に関係ない話を唐突に突っ込んだり、原作キャラの性質からしてありえない行動や言動をさせたり、必要な部分まで雑に省略したり、世界観を勝手に変えてもいいというわけではない!(と私は思います)
そりゃね、確かに原作でもありましたよ?
ラスボスもろとも全滅とか、ラスボス倒したら世界崩壊とか。ちょっと気を抜いたら村や街が壊滅とか、ちょっとした選択肢で人があっさり死んだりとか。
本筋と関係ない唐突なイベントも山ほどあるし、唐突にわけの分からない強敵が出てきたり。
キャラクターの解釈だって、他の作品以上に幅が広い。年端もいかない少女がレア武器の為にオッサンをぶっ殺すことだって出来てしまいますし。
仲間の裏切りにしてもよくよく考えてみれば、混乱した仲間に全体術ブッパされて全滅したことなんて何度あったやら。
しかし、原作とインサガ光ルートシナリオで決定的に違うのは
プレイヤーが自ら選択したり、あるいは訓練や武装を充実させたりなどの努力や工夫を怠ったり間違えたりした結果、キャラの死亡や街の壊滅などのバッドエンドが導かれるのか。
それとも、プレイヤーが何をしようがどうあがこうがバッドエンドになってしまうか。
この点だと(個人的には)思います。
要は、プレイヤーの工夫や考え方次第でどうにかなるか否か。
インサガ光ルートの場合、最悪のキャラ解釈をされた原作キャラを押し付けられた状態で、最悪の選択肢を強制的に選ばされ続ける。そんなイメージが強かったです。
(原作でも確かにラスボスもろとも全滅とか、どうあがいても回避できないものもありますが。
そういうものは描写を最低限にして、どうとでも解釈できるように描かれているように感じます。最低限すぎてよく分からないという意見も多々あったりw)
ソシャゲという性質上、他のサガシリーズのように豊富な選択肢を!というわけにもいかないという事情もあるのでしょう。
どうしても一本道にならざるを得ないなら、脈略のない唐突なイベントやら、無駄としか思えないキャラの死亡やら入れず、しっかりストーリーを練ってほしかった。
あと、「ねんがんのアイスソード」とか「アバロンのダニ」とか「私が町長です」など、原作での有名なネタ台詞の上澄みしか知らず、そこだけ弄りまくってネタにしている印象。このキャラやこの台詞弄ればファンには受けるだろwという考えが透けて見えるのがイヤだ。
シナリオ担当者原作未プレイ疑惑さえ囁かれているレベルです。
し・か・し!!(ここからがやっぱり超重要)
シナリオ後半(通称・闇ルート)になって、ストーリー担当がベニー松山氏に交替。サガフロ1リマスター・ヒューズ編シナリオも担当されている、通称ベニ松さんです。
こんがらがりまくったまま放り出された物語に何とか収拾をつけ、熱い結末に導いてくださったのは素晴らしかった。
キャラクターたちもしっかり原作に則られ、台詞や行動に違和感を覚えるキャラがほぼいなくなりました。
インサガシナリオの光ルートと闇ルートでは、それぞれのキャラクターが完全に別人。同じキャラを扱ってこうまで変わるかと思える。
しかも原作で未消化の伏線や、モヤモヤ結末で終わった部分まで解決してくるという。
原作とは別世界であることを利用し、原作では非業の死を遂げたはずのキャラクターまである程度救済されるという神っぷり。これぞまさにお祭りゲー、まさにスパロボ救済!
さらには原作をやりこんでいないと分からないようなネタまで山ほど盛り込んでくるという(逆に言うと原作未プレイ勢には不親切まであるかもw)
やはりプロの手腕はさすがです。いや前任者もプロのはずなんだけど。
ベニ松さんはベニ松さんで特定キャラや特定作品の贔屓が目立つとかネタが細かすぎるとかありますが、地獄の光ルートを思えば笑い飛ばせるレベル。
もう神だよ! ベニ松「さん」なんて呼べないよベニ松「様」ですよ!!
ベニ松様はインサガの続編たるインサガECのシナリオも担当されているので、興味のあるかたは是非プレイを!
ちなみにインサガ光ルートのシナリオ担当者は、最新のソシャゲであるロマンシングサガリユニバース(通称ロマサガRS)のシナリオも担当していましたが、現在は降板している模様。やはり運営が無視できないほど批判の声が大きかったのか……
メインキャラが意図しない妊娠したとかで大炎上したと聞きましたが怖すぎて触れない。
後半に入り、多くの情熱あるスタッフの手で生まれ変わったインサガですが。
非常に残念なことに、2019年12月をもって配信終了となりました。
FlashPlayerのサポート終了に伴い、動作保証が出来なくなるというのが主な理由です。
ですが、終了告知から実際の終了まで9か月も間があり、その間にガチャやらが大盤振る舞いとなったり、続編となるインサガECもリリースされたり、インサガをやりこんでいたプレイヤーはECで様々な特典をもらえたりと、かなり恵まれた形でのサ終だったのではないかと思います。
インサガECでも旧インサガのシナリオはある程度の概要が読めますが、あの悪夢の光ルートはほぼ抹消され黒歴史化or台詞や展開が変更されているというw ベニ松様の力技が結集しているともいえるww
しかし、ほぼ全部があらすじ状態になっているのは惜しい……特にキューブルートにエッグルート。小ネタも熱さも詰まったまさにオールスター映画なのに。
だからなのか、新規ユーザーには若干分かりづらい。非常にもったいない!
真アデルルートと月光ルートは収録済みですが、やはり、インサガ後半部分のシナリオは全部収録していただきたいものです! 期間限定イベント分も含めて!!
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