1. ロマンシング サ・ガ~世にも稀なる怪作~
※ネタバレを含む記述が多いです。また、リメイクとなる「ロマンシングサガ ミンストレルソング」のネタバレに直結する記述もある為ご注意ください。
1992年1月にスクウェアから発売された、スーパーファミコン用ロールプレイングゲーム。サガシリーズ4作目にして、スーファミでのシリーズ第1作目。通称『ロマサガ1』。
広大な世界「マルディアス」を舞台に、8人の主人公がそれぞれの物語を紡ぐ。
私のサガシリーズとの出会いはこのゲームでした。
同時期にFF4や5が同じスクエア(現在のスクエアエニックス)から出ていてかなり夢中でプレイしていたこともあり、同じようなシリーズがある!?と思って大喜びで弟と一緒に遊んだ記憶があります。
しかし、このロマサガ1。
ドラマチックかつ一本道、そしてプレイヤーに色々親切だったFFの印象が鮮烈なまま始めた自分にとって――
あらゆる部分が衝撃的でした。
まず、主人公が男女合わせて8人もいる。8人の中から自由に選べる!
男子は貴族の息子アルベルト、都会の盗賊ジャミル、海賊キャプテンホーク、冒険者グレイ。
女子は森の番人クローディア、旅の踊り子バーバラ、蛮族シフ(当時はホントに『ばんぞく』表記だった)、そして遊牧民の少女アイシャ。
弟はカッコイイし強そうという理由でホークを選んでいましたが、私は何も考えず、一番年下のアイシャにしました。当時の自分の年齢に一番近かったというのが理由ですw それでも当時は彼女の方がまだ年上だった……懐かしい。
それぞれの主人公でFFみたいな波瀾万丈な物語が展開されていくのか!?このゲーム会社スゴイな!!とワクワクしていました。まだまだ自分は若かった。
いや、確かにどの主人公もある意味FF以上に波瀾万丈には違いないのですが、当時思い描いた波瀾万丈とは若干違ったのは確かですw
そして次に衝撃的だったのが、敵の出現。
ドラクエやFFの場合は、何の変哲もないフィールドを歩いていると突然画面が変わって敵が現れる、いわゆるランダムエンカウント方式。
しかしロマサガ1の場合は違い、最初から敵の姿がフィールドに見えているシンボルエンカウント方式。
ドラクエやFFをやっていた時は、「初めから敵が見えていれば避けられるのになぁ~瀕死だけどあと一歩で城にたどりつくと思ったら敵に出会って全滅、なんて惨劇防げるのになぁ~」とよく思っていたものですが、その願いが叶った!?
……と、最初は喜んだものです。最初は。
実際やってみると、ドラクエやFFのランダムエンカウントがどれだけ良心的だったかが分かりましたw
とにかく敵シンボルの数が多すぎる! その上、画面の全ての敵が高速でこちらを追いかけてくる!!
見えてる敵ならよけられるだろうって? とんでもありません。あの大量の軍団に四方八方を高速で取り囲まれたら逃げるに逃げられない!
1キャラしか通れない狭い道に、敵がうじゃっと行列して待機しているなんてザラです。
よく分からないかたは「ロマサガ1 握手会」で画像検索していただけると一目瞭然かと。
ちなみに「ミンサガ 握手会」だと全く別の意味になるんですが、それはまた別の話w
しかも私の場合、アイシャで始めたものだから本当にえらいこっちゃでした。
というのも、序盤の彼女は主人公8人中一番弱いからです。最終的にはかなり強くなるのですが、とにかく序盤は貧弱すぎて、すぐにやられてしまいがちでした。
そしてさらに衝撃的だったのが、良くも悪くも波瀾万丈、かつ、良くも悪くもドライな物語。
これはサガシリーズ共通だと思いますw
アイシャの場合、タラール族という遊牧民の村から一人で冒険に飛び出していくところから始まりますが
・敵に一瞬でやられる
・某国の王子に助けられる
・お城で入浴シーン
・村に戻るが、その後も一瞬でやられ奴隷商人につかまる
やり方によって細かく分岐はするものの、何も知らずにアイシャで始めたら序盤はこうなるのではないかと。
こうして書き出してみるとかなり波乱なストーリーですが、実際にプレイしてみると驚くほどのスピードでポンポンと話が進みます。感情の落ち着くヒマがないというか。
これもサガシリーズ全てに言えますが、何となく、主人公の目線ではなく神の目線でイベントを見ている気もします。
勿論、主人公が激昂したり落ち込んだりといったシーンも多いのですが、あくまで基本は淡々と、そしてドライに物語が進んでいく感じ。主人公や仲間たちがそれぞれのイベントに対してどう感じどう思っているかの描写は必要最低限にとどめ、後はプレイヤーの自由な想像に任せている感もあります(サガがプレイヤーの想像にゆだねている部分を全部細かく描いちゃっているのがFFと言ってもいいかも)
このへんは当時のスーファミの限界というのもあるのでしょうが、それ以上に台詞回しがキレキレすぎるからというのもあるかも知れませんw
例えば
・てめえがつよすぎるんだよ 大女め!
シフを仲間にするか否かで断る時の選択肢。確かにシフさん当時は『ばんぞく』表記でしたけども……w
・ギャー トカゲだー さよなら
ゲラ=ハを仲間にするか否かで断る時の選択肢。彼は見た目がトカゲのゲッコ族だが、口調も物腰も非常に丁寧、実直な性格の青年……それだけにこの返しはヒドさ満点。
・金 金 金! 騎士としてはずかしくないのか!
騎士団の会議中、騎士たちの不甲斐なさにラファエルが激昂する時の台詞。
台詞の内容自体はそこまでという感じですが、いかに騎士団が金にまみれているかが何となく分かろうというもの。そして奇妙にインパクトがある。
しかもこの後「騎士いがいの はつげんは みとめない!」「みならいのくせに でかいくちをたたくな!」などと散々に返される。
・人のみらいを かってにきめるなよ
魔術師フラーマに、ラスボスの復活をお前が阻止しなければならない!と言われた時の選択肢。
「そうか それがじぶんのうんめいだったのか!」も同時に選択肢としてあがってくるが、こんなん突然言われたら普通「勝手に決めるな!」となるよね……と思って上記の台詞を選んだら、ブチ切れられた上に重要アイテムももらえなくなった苦い思い出。
……等々が代表的なところ。
端的な言葉で感情を分かりやすく示すという点では、富野台詞にも通じる部分がある……かもしれない?
ですが、やはり最も有名なのは剣士ガラハドの
『ねんがんの アイスソードを てにいれたぞ!』
そしてそれに続く悪魔の選択肢
『殺してでも うばいとる』
さらにそこから続く台詞
『な なにをする きさまらー』
の流れと思われます。
そう――
この流れから分かるとおり、このゲーム。
人を殺せます。
何も罪を犯してない、ただ珍しい剣を持ってそのへんを歩いているキャラ(しかも仲間に出来るキャラ。場合によっては仲間だったキャラでもある)を殺せてしまいます。
これこそがロマサガ1、ひいてはこれ以降のサガシリーズの最大の特徴である『フリーシナリオ』。
要はどこへ行ってもいい。何をしてもいい。プレイの数だけ物語が作られる。
色々衝撃的なロマサガ1でしたが、やはりこのフリーシナリオシステムが当時の自分にとって最も衝撃的だったと言えるでしょう。
当時の私もこのシーンに遭遇しました。
しかしさすがに最初は良心のほうが勝り、ガラハドを殺すのではなく仲間にする選択肢をとりました。
ですが弟は堂々と殺していたようなw そして自分も一度はやったようなww
「な なにをするきさまらー」でバトルもなく突然ガラハドが消え、悲しい音楽が流れ出す……あの「やっちまった」感あふれる光景は忘れられない。
この「人を殺したかどうか」は後々、大きくストーリーに関わってきます。
それまでどれだけ善行を重ねたか、またはどれだけ悪行をやらかしたかでラスボスに通じるキーポイントとなる場所が変わります。神に選ばれた勇者として試練を受けるか、死の神と取引して大きな代償を払って強力な武器を入手するか、もしくは伝説の古城へ誘われるか……
しかしやり方を工夫すればその三地点全部行けるという。改めて考えるとフリーすぎる。
ちなみに悪行を重ねた時に言われる台詞が
「あなたは いままでそうとう悪いことをしてきましたね
あなたのような人に てをかしてくれるものは ないでしょう」
ひらがなが大半というのも手伝ってか、キレキレすぎてたまらないw
それから、このロマサガ1。
キーアイテムとして、10個のディステニィストーンというものがあります。
最初はドラクエ3のオーブみたいに、全部集めて初めてラスボスへの道が開かれるものだと思っていました。10個集めたら空を飛べたりするものだと!
しかし、オープニングにもこれみよがしに堂々と出てくるこのディステニィストーン。
実は、全くなくてもラスボスには行けてしまいますw
選択肢によっては貰えなかったり、守護者が強力すぎてどうやっても太刀打ちできなかったりは当たり前。せっかく取ったのに偉い人にうっかり献上しちゃったなんてこともあるし、相手が持っているのは分かっているのに逃げられたなんてことも。
最初から「破壊された為消失」なんて扱いになっているものまである。その一方で、とあるキャラを仲間にしたらいつの間にか持ってたなんてこともw
サガシリーズ生みの親たる河津氏のツイッターによると、
「全部集まると、集めるのが正解になってしまいます」
「集めても集めなくても良い、を明確にする為に全部集めを放棄しました」
とのこと。
ロマサガ1のリメイクたるミンサガでは全て集められるようになっていますが、別に必須ではないのは変わらない。昔も今も、「正解を決めない」この姿勢はサガシリーズほぼ一貫していると思う。
そしてフリーシナリオと並んで、サガシリーズの醍醐味と言えるのがバトル! そしてキャラの成長!!
レベル制ではなく、バトルごとにステータスが上がっていき敵も強くなっていくシステムなので、常に歯ごたえのあるバトルが楽しめる。逆に言えば雑魚戦でも平気で全滅する。
先ほど言った通り、アイシャで始めた自分は彼女の弱さもあり、本当に苦労の連続でした。特に序盤、仲間もジャミルだけだった時は悲惨だった。下水道でどれだけ死にまくったやら……
何とか運よく撃破出来たと思ったら、一本道に魚系モンスターが3匹詰まっていた絶望の光景は忘れられない。
それでもどうにか突破出来て、地上に出て色々街を回って多くの仲間を得て、アイシャ自身もどんどん強くなっていきました。
この頃はまだ「閃き」もなく、ひたすら武器を振り続けることで技を覚えていくシステムでしたが、それでもアイシャやジャミルが強くなっていくのを見るのは楽しかったです。あれだけ下水道で苦戦していたのが嘘のようだ……
ジャミルはウコムの鉾を、そしてアイシャはアイスソードを入手してから最強格になりました(アイスソードはちゃんと正当にお金を払って古城で購入)
アルベルトがレフトハンドソード、クローディアがエリスの弓だったか。あの頃の最終試練武器は強かった(遠い目)
武器を外したら技が消えるのは正直閉口しましたが、他にも色々とヤバイシステムあったからそこまで気にならなかったw お金が9999を超えると店でアイテム売ってジュエルに替えないとそれ以上貯められないとか……ふらりと街に寄ったら何故かモンスターがうじゃうじゃ溢れてたりとか……雑魚で出てくるイフリートだのフルフルだの……
今思えばよく初見で最終試練と古城同時に行けたな自分w
それから特筆すべきはバグの多さ。
フリーシナリオのRPGという、当時としてはかなり挑戦的で尖ったゲームだったせいか、それこそ数えきれない量のバグがありました……
自分が見たものだけで言うと
・ドアや入口を守っている固定敵に負けそうになり、逃げる→何故か固定敵が消失、その奥に行けてしまう。
私はこれで謎の空間にワープしてしまって何度か詰み、弟は結構弱いままでドラゴンだらけの冥府に迷い込んでましたw
・手に入れたばかりの弓のダメージが異常に弱い(どんなに強い弓でもレベルを上げない限りダメージが非常にショボい。ダメージ1とか当たり前のように出たような)
・「鳥殺弓」「竜破剣」という鳥や竜に強そうな必殺技が何故か鳥、竜にダメージ1
・トマエ火山で、タイラントと和解して周囲のモンスターは敵ではなくなったはずなのに、敵としてこちらを追いかけてくる行動パターンが何故か変わらないので、仲良くなったはずの敵に周囲を完全にふさがれてしまう。
真っ赤な無限スライムに溶岩の中で「お前とは戦うなと言われている」とか延々言われながら詰むという地獄。戦うか道開けるかどっちかに( ノД`)
・終盤でラファエルに話しかけたらいきなり仲間になり、それ以降外せない
……いや、バグでさえも懐かしいw
ちなみにロマサガ1で私がクリアした主人公はアイシャのみです。
他の7人もひととおり序盤は触ってみたのですが
アルベルト→謎空間ワープで詰んで終了
グレイ→恐竜に囲まれて詰んで終了
シフ→序盤から敵多すぎて終了
ホーク→序盤から敵多すぎて(ry
ジャミル→街中ですら追っかけまくられて(ry
バーバラ→正直何やったらいいのか分からなくて(ry
クローディア→ピラミッドだったかまで頑張ったけどせっかくの大金を回収しきれず心がバキッと(ry
だいたいこんな感じでしたw
ちなみにバーバラ姐さんの時は、仲間のエルマンが何故か途中で仲間から消失。
その時既に他のデータでジャミルを中盤までやって(そして詰んで)いたから、ダウドみたいに衝撃的な外れ方するのかな……と思っていた。しかしそんなこともなく、全く気付かないうちに外れていた。
多分バグではなく自分で外したんだろうと思うけど、いつ外したのか覚えてない。
特にイベントらしいイベントもないし全然喋ってもいないし、どんだけ影薄い仲間だよ!と思ったのは言うまでもありません。
しかしこの件、実は後々の運命の出会いにもつながるという……
それについてはミンサガのところで詳しく!
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