イケメンに変わった男子!美顔成型?いえいえ、私との恋の奇跡です。元イケメンの第一王子と婚約者には一緒に退場して頂きます。ざまぁ!

甘い秋空

イケメンに変わった男子!美顔成型?



「おや? お話するのは初めてかな」


 第一王子は金髪碧眼のイケメンです。同級生になって1年、始めて声をかけられました。

 学園の昼休み、廊下で婚約者と話している脇を通ったのが失敗です。


「王子様、そんな地味な女性と話す必要はありませんよ」


 第一王子の婚約者とも、同級生なのに、ほとんど話したことはありません。

 栗色の髪、悪役っぽい顔、でも爵位が高く、まぁまぁ美人です。


 取り巻きの令息と令嬢たちが笑っています。


「では、失礼いたします」

 私は、急いでこの場から離れます。


 私は、容姿が地味です。

 身長が小さく、だぶつく制服、金髪を一つにまとめ、顔には花粉対策メガネ。


「ハァ、、、さすがに、面と言われると、ショック、、、」

 メガネを外せば、少しはイケてると思っていたのですが。


 ◇


 教室に戻ると、卒業試験に向けて、自習されている学生が多くいます


「ここが解らないんだ」

 男子は、解らない練習問題をサリー君に聞いています。


 私のサリー君への印象は良いです。

 問題は、顔です。


「どこ? 見せて」

 サリー君が男子の指す問題を見ます。


 太い眉は好みなのですが、顔をケガしており、左右のバランスが崩れていて、貴族と言うにはイマイチな顔です。

 それで、ご令嬢様たちの恋愛対象にはならないようです。


「式の右と左を見て、同じ所を見つけるんだよ」

 サリー君の説明はわかりやすいようです。


「そうか、わかった、ありがとう」


「いえいえ、お安い御用です」

 男子なのに、笑顔がキュートです


 私は、花粉対策メガネをかけてから、相手の内面がよく見えるようになりました。


 サリー君に、私は好意を持っています。


 ◇


 授業が終わり、通常は学生寮に戻りますが、今日は金曜日です。

 上級貴族は、土日を実家で過ごすため、馬車で帰ります。


 玄関ホールでの馬車待ち混雑が終わるのを、静かな中庭で待つことにしました。


 ベンチで、サリー君が手紙を読んでいます


「あ!」

 視線が合いました。恥ずかしいので廊下に戻ります。


 ◇


 廊下で、第一王子と婚約者、取り巻きと、出会ってしまいました。最悪です。


「今日はよく会うね」

 第一王子は、女性なら誰にでも声をかけると評判です。


「貴女、王子様の気を引こうとしても無駄よ!」

 あらら、婚約者はご立腹のようです。


「大丈夫だよ、僕は地味な女に興味がないから」


「え・・・」

 ショックな発言ですが、相手は王族なので反論できません。


「第一王子様、その発言は、この令嬢に失礼では?」

 サリー君が間に入ってきました。少し怒っています?


「おや、貧乏男爵家の坊ちゃんじゃないか」


「この令嬢に謝罪するべきではありませんか」


「同級生でも、王族に対して不敬だろ!」

 第一王子がサリー君の右ほほを、裏拳で殴りました。


 サリー君はひるみません。眼光で圧倒します。


 第一王子は、何度も正拳で顔を殴ります。

 やりすぎですが、誰も声が出せません。


 サリー君は、顔が腫れていきますが、王族に手は上げれないので、耐えています。


「やめて下さい!」

 私が間に入ります。


 第一王子の拳が止まらず、私に当たる?


「女性を殴ってはいけません」

 危ないところ、サリー君が拳を受け止めました。


 私は、彼に、後ろから抱きかかえられる形になりました。


「気分が悪い、帰るぞ!」

 第一王子が背を向けます。あれは、指の骨が折れています。


「このことは口外無用です、いいですね!」

 婚約者は捨て台詞を残します。


 第一王子は、取り巻きを連れて、玄関ホールへと立ち去ります。


「大丈夫ですか? サリー君」

 顔が腫れています。骨まで損傷しています。


「少しこちらへ」

 もう、ほとんど目が開けられなくなったサリー君を支えて、廊下から中庭へ移動します


 ◇


 公にはしていませんが、私は、聖女の家系です。病気やケガが見えますし、治せます。


 サリー君を、芝生に横にして、

「ヤオヨロズの神達よ キコ示せよ ギガ・ヒール」

 秘密にしていた光魔法を使います。


「治療しましたので、学生寮に帰れますけど、土日は安静にして下さい」

 これで、サリー君の顔は、数日で元に戻ります


 月曜日、朝から男子が、女子までも、騒いでいます。

「サリー君が、柱に顔をぶつけて、イケメンになった」


 サリー君が、そっと私に合図をよこして、席を立ちました。

 私も助けてくれたお礼を言いたくて、そっと彼について行きます。


 ◇


 中庭に出て、花粉対策メガネをずらして、サリー君の顔を見てみます。


「腫れが引いたようで、良かったです」

 以前と変わりないようですが、左右対象になって、少し太い眉も加わって、とてもイケメンです。


「メガネを外した方が素敵だね」

 サリー君の不意打ちです。


「先日はありがとう、王位継承の争いで顔を怪我していたけど、貴女の力で元に戻りました」

 彼の白い歯がキラリと光った気がします。


「私こそ、助けていただき、ありがとうございました」



「俺は、顔をケガしてから、人の内面というものが、よく見えるようになりました」


「土日、安静にしながら考え、やっと自分の気持ちに気がつきました。俺は、以前から、貴女の清楚な振る舞い、優しさに、好感を持っていたことを」


「卒業したら、一緒に俺の国に来て頂けませんか?」



「俺の国? 男爵家では? 一緒に? まさか?」

 頭が混乱します。


「俺は隣国からの留学生で、男爵家は従者の親戚です」

 え? そうなの?


「先日、俺の国から手紙が来ました。王位継承権の争いが沈静化したので、帰って来いと」

 そんなこと、私に話していいの?


 サリー君が、私の前で片膝ポーズをとりました。

「必ず幸せにします、結婚して下さい」


「・・・うれしいです」

 サリー君の手に、私の手を重ねます。


 ◇


「いってー!」

 卒業を前に、学園では、顔を柱にぶつけて、美顔整形するのが流行っています。

 もちろん、成功者は出ません。


「なに? あの顔!」

 イケメンだった第一王子は、顔が腫れるまでぶつけましたが、崩れる一方で、今では見る影もありません。


「婚約者様は今日もお休み? ご病気かしら、平和でいいけど」

 取り巻き達が話していますが、ご心配はいりません。

 高額な整形をなされていたので、本来のお顔に、内緒で治しただけです。




 後日、あの金曜日の出来事について、王宮に匿名の投書があったそうです。


 第一王子は廃嫡、止めなかった婚約者も、ご友人たちと一緒に、卒業を前に退学になりました。

 留学中の隣国の皇太子を殴ったのですから、当然です。


 直接殴るだけがザマァじゃないのよ。

「私、怒ると、怖いんだから!」




━━ fin ━━




あとがき

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