四章 コカトリス討伐
いよいよコカトリス討伐の日がやって来た。ソフィア達はしっかりと装備を整え木こりの森の奥地へと向かう。
「いたぞ、コカトリスだ!」
「「「っ!?」」」
先頭を歩いていたレイヴィンの鋭い声に三人に緊張が走る。
【グルゥカーッ!!】
「奴もこちらに気付いたようだな」
背後を向いていたコカトリスが鳴き声を上げると威嚇するように体を大きく揺らす。
その様子にマルセンが言いながら剣を構えた。
「ソフィー、ハンス。俺達の後ろから絶対に前に出るなよ」
「分かっているわ」
レイヴィンも言うと駆け出す。ソフィアは返事をして背後へと下がる。
「色々と準備してきたアイテムが役に立つ時です。これでも食らいなさい」
【クルゥ?】
ハンスが背後に退きながらカバンの中に手を突っ込み何かを投げつける。
「瞬発力を下げる薬です。続けて食らいなさい!」
【グルッ】
彼が言うと再び小瓶を投げつけた。
「今度は何だ?」
「攻撃力を下げる薬です。今日という日の為にザールブルグとオルドーラから品物を取り寄せておいたのですよ」
マルセンの問いかけにハンスが自慢げに答える。
「奴さん薬が効いているみたいだ。ハンスこのままどんどん薬を投げてくれ」
「任せて下さい」
レイヴィンの言葉に彼がモノクルをくいっとあげながら返事をした。
「私も。祝福の女神像。それから天使の微笑み」
「よっしゃ、やる気アップ! ついでに状態異常にもかからなくなった。これなら行けるぜ」
「そんじゃ、そろそろ仕掛けるとするか。はっ!」
ソフィアも作って来たアイテムを取り出すと味方全員の攻撃力と防御力が上がり更に状態異常にもかからなくなった。その様子にマルセンが喜びレイヴィンも仕掛ける。
【グルァ】
「おっと」
「食らうかよ」
コカトリスも黙ってはいない。襲い掛かってくる二人に鋭いくちばしでつき攻撃をしてくる。二人はすぐさま背後へと退きそれをかわした。
「これでも食らいなさい」
【グルゥ!!グアッ!!】
「ハンスさん避けて!」
何度目かのハンスの小瓶攻撃についに怒りを露にしたコカトリスが彼目がけて駆け込んでいく。
ソフィアは切羽詰まった声で叫んだ。
【グアッ】
「ぎぁあっ」
「ハンスさん」
ものすごい勢いで駆け込み鋭い足詰めで攻撃されたハンスが倒れる。その様子にソフィアは顔を青くするも急いで走り寄り抱きかかえる。
「っ、ハンス!」
「このっ」
レイヴィンも倒れたハンスの事を気にしながらコカトリスへと斬りかかる。マルセンが怒りで我を忘れたかのように魔物へと向けて無茶苦茶に剣を振った。
「ハンスさんしっかりして!」
「う、ソフィー。私は、大丈夫ですよ……」
抱きかかえた彼へと声をかけるソフィアへとハンスが呟く。
「そんな弱弱しい声で言われたって信じられません。待ってて今薬を」
「ちょっと待った。ハンスは大丈夫だぜ」
泣きながらポーチを探る彼女へとレイヴィンが声をかける。
「でも……」
「よく見ろ。ハンスの胸の傷血が出てないだろう」
「「え?」」
何を言うんだといいたげに呟いたソフィアへと隊長が小さく笑いながら話す。その言葉に二人は呆けた声をあげた。
「こ、これは……手帳。この手帳が私の命を守ってくれたのか」
「それってハンスさんが何時も肌身離さず持ち歩いている商売の事について書かれた手帳ですよね。そっか、それがハンスさんの命を守ってくれたのね」
彼が何かに気付き胸ポケットから取り出したのは切り傷がついた付箋だらけの分厚い手帳。それがハンスの命を守ったと分かった途端ソフィアの肩から力が抜けた。
「良かった……ハンスさんが無事で本当に」
「ソフィー。心配かけてしまい申し訳ありません。これも貴女から貰ったペンダントの効果でしょうか。有難う御座います」
涙を流して安堵する彼女へと彼が困ったように笑い答える。
「いいのよ。そんなこと。如何でもいいの。ハンスさん本当に生きていて良かった」
「やっぱり複雑だな……」
涙を流しながらハンスを抱きしめるソフィアの様子にレイヴィンが呟く。
「倒せた……コタトリスを。俺が……」
一方その頃一人コカトリスと戦っていたマルセンが勝利したことが信じられないといった顔で独り言を零していたのだが三人がその事に気付くことはなかった。
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弁解させてください。決してマルセンをないがしろにしたわけではなく、書いている流れ的にマルセン視点いれれなかったので気が付いたら蚊帳の外にされていてコカトリス一人で討伐していた感じになったのです。決して悪意はありませんでした。
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