第17話 N2号作戦
N号作戦のために地球を出発した日向率いる地球艦隊は、帰還予定の日を過ぎても地球に帰ることはなかった。
4536年6月3日地球合衆国軍は、N2号作戦の発動を行った。これは、再び艦隊による攻撃を行うというものだ。
N2号作戦のために発進した戦艦ミズーリ率いる第二打撃艦隊は、N星系まで大きな消耗もないまま進むことができた。
そしてN星系第三惑星付近の軍事コロニー群に近づいたが、そこはもぬけの殻だった。僅かに残った記録媒体から得られた情報は、第八番惑星の防衛戦のものだけ。
第二打撃艦隊は、第八番惑星に向けて出発した。
戦艦ミズーリ、戦艦ソユーズ、戦艦扶桑、巡洋艦ルイージ以下略。ともかく三隻の戦艦と十七隻の巡洋艦。そして五十七隻の駆逐艦による地球にとっての大艦隊が今まさに第八番惑星の戦いに参戦しようと向かっていた。
しかし、最後の軍需コロニーを通過しようとした時、バズン共和国軍の新鋭戦艦バタ・ザサの率いる第三番惑星残存艦隊が現れた。ほとんど偶然のような邂逅だったが、両社によって苛烈な砲戦がたちまち展開される。砲戦を行いながら徐々に艦隊同士の距離が縮んでいった。
地球の新鋭戦艦ミズーリと、バズンの新鋭戦艦バタ・ザサが、他艦船の弾幕の中で打ち合う。
バタ・ザサは、艦首に備えられた決戦兵器となる砲の発射準備を始めた。
「敵艦のレドームが開きました!」ミズーリの艦内には、それがなにであるかは不明だったが、恐ろしいなにかであることが分かった。
ミズーリがその攻撃を避け、バタ・ザサの横を通る瞬間だった。
「錨を降ろせ!」ミズーリから錨が放たれ、バタ・ザサの艦前方に突き刺さる。
錨がミズーリに引かれ、バタ・ザサの艦首の向きが大きく変わる。さらにそこに駆逐艦天霧が突っ込み、無理やり艦の向きを変え、射線上に地球の艦はいなくなった。
次の瞬間、バタ・ザサの艦首から赤い閃光が放たれる。それは、たまたま斜線上にあった遠くの軍需コロニーを撃ち抜き、数万キロ先からでもわかる大爆発を起こした。
「ナーズ閣下。爆裂砲の威力は分かります。それに、バタ・ザサのような新鋭戦艦ならば運用もしやすい。しかし、量産性は低いですよ」ズが、第八番惑星から上官に文句を付けていた。
「ああ、だから重要拠点であるそちらに二隻送ったのだ」このナーズの言葉を、ズは呆れ気味に聞いていた。
「分かりました。ここの防衛はお任せ下さい」しかし、ズは元気に返事をした。
彼の目の前には、バタ・ザサの同型艦が二隻飛んでいた。
「上空では戦闘が続いているが、まさかここが襲撃されることもあるまい」ズがのんきなことを言った直後、魚雷が突如現れてバタ・ザサの同型艦の一隻の艦首に絶大なダメージを与えた。
そして、ほんの少しの時間浮上した潜行艦から、レイが発進した。
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