第7話 ナーガ王国へ
「うーん?」
私が目を覚ましたら、外からザックが誰かと話している声がしていた。それも、建設的な話ではなく。馬鹿の討論のような怒号。
「コッタルルナヒマヌノン!? マロスルー!」
「一旦黙れ! ……ビークワイエット! 英語じゃ通じねえか……」
ザックと、女の人の声だ。女の人が話しているのはオーキ語だな。古語の勉強ってここで役立つんだ……。えっとなになに。「なぜあなたはここにいる。せつめいしろ」って感じか。とっとと仲介しに行こう。
コックピットを開けて、二人の方へ歩き出す。ザックと、木製の防具を布の服の上から胸や腕につけている金髪碧眼のお姉さんが無駄な問答をしている。
「ニヌナカーマロス(私は説明できる)!」
豊満な体つきをした女の人の顔がこちらへ向く。
「マールラット! マロスルーアカー!」
えっと、「なんだって! 説明してくれ」かな。 今私達はどういう状況だろう。飛んでいたが、襲われたとか? ああ、過去形ってどうするんだっけ! 襲われたって何だっけ! ああ、あの思念波とかいうのが使えたらいいのに!
「出来るよ」
レイが私の頭の中に語り掛けた。なんで? どうやって?
「 俺の中には、人の心に反応してエネルギーを作る装置がある。それを利用したんだ。針金電話みたいにな」
なるほど、すっごく便利なんだな。……私たちは空を飛んでいたところを襲われたんです~。通じて~。
「そんな馬鹿な。我々の知る限り、そんなに高く空を飛べる魔物はいないはずだ」
なんで私たちが高く飛んでいたことが分かるんだろう。
「こちらにも、そのような存在を見つける手段はある」
なんだかこれに慣れてきたな。というか、見つける手段があるってすごいな。
「自己紹介が遅れたな。私はナーガ王国騎士団長のニティヤー・マナサーだ。よろしく」
この人すぐ使いこなしてるな。魔法なんてものがある国の人は、精神のやりくりが上手だったりするのかな?
「私は、マドスナッザ帝国の貴族家三女のローダンセ・ノイ・リキシアです。よろしくお願いします」
なんだかうまく敬語で伝えられた気がするな。
「マドスナッザ帝国!? 先月からマドスナッザ帝国とシデン連邦の西洋同盟と戦争中だ! まさか君たちは事故で……」
どういうことなんだ? 時間がおかしいぞ。私達は数か月の間も気絶してたのか?
「私たちはいつここに落ちたの?」
「半年前です」
嘘、じゃないよねきっと。どうしよう。新たな戦争だなんて……。
違うな。戦争が起きたのなら、止めるまでだ。まずは、なんで開戦したかとかを調べて、どこかに戦争の落としどころを作る!
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