第4話 南の海で
「1時の方向、距離1000。洋上敵です!」
マドスナッザ帝国所属、マリッザ型駆逐艦の五番艦ルトリッザは、南海の哨戒任務中に魔生物と呼ばれる存在と会敵していた。母なる大地ルートルートの外からやってくることしかわからない怪物。星の全貌も人類の起源も理解できていない存在はそれと戦うことを強いられているのだ。人を喰らうという性質のために。
「舵、10時の方向。試製親子墳進弾、用意」
細長い船体の艦尾に取り付けられている旋回式発射機に墳進弾が載せられる。
発射機が海に浮かぶ海月の魔生物の方向に向き、墳進弾が発射された。火が噴き出す音と共に発射された墳進弾は魔生物の少し前で炸裂し、小弾をまき散らす。
慣性で飛んだ小弾は魔生物にぶつかって炸裂し、体に幾つかの穴を開けた。
「潜行行動の確認を続けろ。墳進弾、再装填」
再び墳進弾が載せられる。
「12時の方向、敵航空機です!」
「主砲、四式榴弾用意。舵、9時の方向。試製親子墳進弾用意」
船は左へ進み始め、墳進弾と主砲は接近する敵機の方へ向けられる。
「あんな骨董品に、こいつが落とせるか!」
人間のような形、顔には藍色のバイザー型のカメラ、マスク。ブロック工法によって作られたとわかるスリッパのような足、四角い肩。星間戦争時、小惑星やデブリを利用した戦闘が注目され開発された人型機動兵器、戦争後に余った機体を改装した空戦型。それが駆逐艦へと迫っていた。腕に備え付けられたチェーンガンを撃ちながら、接近する。
魚雷発射管と艦首付近に数発の弾丸が命中するが、ルトリッザは、主砲と墳進弾発射機を敵に向ける。
主砲の榴弾と墳進弾が順番に放たれ、空を飛ぶそれに襲い掛かる。榴弾をかわしたそれは、墳進弾から飛び出した大量の子弾の直撃を受け、爆散した。
「馬鹿め、敵を侮るから」
二つのアイランドが付いている全長330mの空母。その8機の艦載機が次々とカタパルトで出撃していく。
「今回の目的は、起動したと思われる兵器の回収だ。偵察に出たドッセが撃墜された。無駄に他の存在に手を出すな」
ビーム砲を持った4機のゴッザが、それぞれ人型兵器を搭載する能力を持つティルトローター機に乗って、駆逐艦を迂回していった。
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