第14話
クウーーーン・・・
頬をくすぐるような気配に、僕は目がゆっくりと覚めた。
冷たい地面の感触。
どうやら土の上に転がってる?
クウーーーン・・・
僕が目覚めたのに気づいたそれは、尋ねるように鳴いた。
「犬?」
それは、紅白帽を被った子犬で・・・
あれ?
僕の紅白帽?
『良かった。気づいたんだね。』
どこからか声が?いや、頭に直接声がする?
おまえか?
僕はまさか、と思いながら、犬を見上げた。
『うん。僕はレオ。勇者召喚の代償でこっちの世界に来た者さ。』
レオ?
うん。確かにその名は聞いた。
て、まさか・・・
『どうやら等価交換にならなかったみたい。君の魔力が強すぎてはじかれちゃったね。』
それは、どういう・・・
『ありがとう。まだ問題はいっぱいだけど、大人達は取り戻した。オーコーのおかげだよ。オーコーの魔力強すぎで世界が繋がったから、僕とオーコーの二人は世界を行き来できるみたいなんだ。』
・・・・
よくわかんないけど・・・みんな助かったのか?
なら良かった。
『うん。僕はいったん向こうに戻る。とりあえずお礼が言いたかったんだ。じゃ、またね。』
レオ、と名乗った子犬は紅白帽だけを残して、空気に溶けるように消えた。
元の世界では、3日が過ぎていたんだって。
神隠し、って言われて新聞とかでも騒がれたみたい。
見つかって、いろいろ怒られたり泣かれたり。
でも、僕は何があったかって、誰にも言わないことにした。
だって・・・
『オーコー。またこっちに来てよ。クリンもポン達も逢いたいって。』
時折レオのこんな声が聞こえるんだ。
いつかまた、あそこがなんだったのか、鳥の人はなんだったのか、調べに戻りたいな、なんて思ってるからさ。
(完)
鳥居の向こうのお隣さん 平行宇宙 @sola-h
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