第11話

 かっぱのクリン。

 孤児で、一人この沼に暮らしているんだそう。

 かっぱって、毛がないから、どこへ行っても差別される対象なんだって。

 この世界の人は毛がないのは気持ち悪く写るらしいです。


 見かけでいろいろ言われるのはつらい。

 僕も、ずいぶん嫌な思いをしたもん。

 日本人に見えない西洋人系の容姿だし、ガイジン、ガイジンって差別された。

 ここでは、もっと大変だ。毛なんてどうしようもないしね。


 それでもこの村は比較的優しいんだって。

 子供のクリンでも、ちゃんと生活できるだけの助けはあったそう。


 でも、最近、一変した。


 4日前のこと。

 翼ある者がいっぱいやってきて、村の家々から食べ物とか道具とか、いろいろ奪っていったんだそう。

 襲撃者がそれをここから来た人に使うって言ってたのを誰かが聞いたんだって。



 この辺では見ない鳥族の人は、みんなクリンみたいなくちばしを持っていて、それで身寄りの無いクリンが大人達を連れていくように仕向けたんじゃないか、って誰かが言い始めたらしい。

 クリンは一層いじめられて、ひとりぼっちで沼の底で震えていたんだ。沼の中まではみんなやってこれないかからね。

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