第9話

 「ちっ、やっぱ、裸族なんて使えねぇ。」

 ドン、って僕を突き飛ばして、ポンが言った。

 「裸族はまだ毛も生えそろわない赤ん坊と一緒だって、やっぱりあってたんじゃない。」

 腕組みをしつつそう言うのはシェン。

 はぁ、って特大のため息と、馬鹿にする目線付きだ。

 「ま、そんな気はしていたんですけどね。裸族だし。」

 突き飛ばされて尻餅をつく僕に、さげすんだ目つきで言うのはコムだ。

 「でも、さっき魔法を使えたのは見たよね。きっとできるよ。ね、ね?」

 オロオロして、みんなに言ってくれるのはチェン。

 「使いたいときに使えない魔法なんてないのと一緒だぜ。服を着てごまかしてっけど、つるつるの毛なしなんて、きしょいだけだな。」

 「そうよね、つるつるなんて、まるでクリンみたい。」

 「クリン。フフ。そうだね。そうだ。つるつるの裸族同士、こいつの面倒はクリンに任せちゃおうよ。」

 「クリンにか?・・・うん。いいな、それ。長老は子供達で面倒見ろって言ってただけだ。俺たちが見る必要はないな。だいたい俺たちは弱っちい裸族なんてかまってる暇はないんだ。かーちゃんたちを助けに行かなきゃならないんだからな。」

 「そうね。私の魔法があればあんな奴らなんて・・・」

 「じゃあ早速。立てよ裸族。こっちだ。」


 ポン、シェン、コムの3人がなんかそんなことを言って、コムが僕の腕を引っ張り上げた。

 ニヤニヤする3人と、オロオロするチェン。

 僕はよく分からないまま、コンに引きずられるようにして、村の中を歩かされたんだ。




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