第9話
「ちっ、やっぱ、裸族なんて使えねぇ。」
ドン、って僕を突き飛ばして、ポンが言った。
「裸族はまだ毛も生えそろわない赤ん坊と一緒だって、やっぱりあってたんじゃない。」
腕組みをしつつそう言うのはシェン。
はぁ、って特大のため息と、馬鹿にする目線付きだ。
「ま、そんな気はしていたんですけどね。裸族だし。」
突き飛ばされて尻餅をつく僕に、さげすんだ目つきで言うのはコムだ。
「でも、さっき魔法を使えたのは見たよね。きっとできるよ。ね、ね?」
オロオロして、みんなに言ってくれるのはチェン。
「使いたいときに使えない魔法なんてないのと一緒だぜ。服を着てごまかしてっけど、つるつるの毛なしなんて、きしょいだけだな。」
「そうよね、つるつるなんて、まるでクリンみたい。」
「クリン。フフ。そうだね。そうだ。つるつるの裸族同士、こいつの面倒はクリンに任せちゃおうよ。」
「クリンにか?・・・うん。いいな、それ。長老は子供達で面倒見ろって言ってただけだ。俺たちが見る必要はないな。だいたい俺たちは弱っちい裸族なんてかまってる暇はないんだ。かーちゃんたちを助けに行かなきゃならないんだからな。」
「そうね。私の魔法があればあんな奴らなんて・・・」
「じゃあ早速。立てよ裸族。こっちだ。」
ポン、シェン、コムの3人がなんかそんなことを言って、コムが僕の腕を引っ張り上げた。
ニヤニヤする3人と、オロオロするチェン。
僕はよく分からないまま、コンに引きずられるようにして、村の中を歩かされたんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます