第018話 事後処理①
ルークは山の中腹辺りで倒した襲撃者を捕縛しに戻っていた。
幸いにもまだ気絶したままだったので、全員を一か所に集めていく。
(ん・・・1人足りない)
ここで遭遇した襲撃者は確か5人だったはずだ。
それが4人しかいない。
(確かリーダー格のやつがいたはずだ。あいつだけは殴っただけだったから目覚めるのが早かったようだな)
ルークは辺りを見回すが、移動した痕跡は見当たらない。
(どこに行った?ここまで来る途中も取り逃した襲撃者がいないか探っていたがそんな気配はなかった)
現状打つ手がないので仕方がない。
いなくなった襲撃者のことは一旦忘れ、ルークは作業を継続する。
4人を一箇所に集めたら、全員を背中合わせに持たれかけさせ、縄で縛っていく。
ちなみに縄は襲撃者が持っていた。
恐らく村人を拘束するために持っていたのだろう。
その縄で縛られるなんて、自業自得とはこのことだ。
(よし・・・ここはこれでいいか)
丁度襲撃者を拘束し終わった後、大勢の人間が山を登ってくる気配が近づいてきた。
「急げ!こっちだ!!」
隊長格なのだろう、声を上げて号令をかけている。
(このままこっちに来そうだな)
恐らく、敵ということはないだろうが念のため戦闘が起こってもいいように心構えをするルーク。
やがてその姿が見えてきた。
「!?皆の者止まれ!!」
ルークの姿が見えた途端、先頭の隊長格が皆を止めさせる。
後方の仲間はそれぞれの獲物をルークに向け、逃げられないように包囲していく。
(大した練度だ)
ルークは感心しながら包囲していく連中を見る。
簡単な指示だけで各々の判断で全体のためになるように行動する。
普段からあらゆることに想定した訓練、実戦での試行錯誤を繰り返しているに違いない。
そんな中、目の前の隊長格がルークの方に一歩前に出て来た。
隊長格は女性だった。
赤い髪をショートカットにした美人である。
ルークは思わず、
(エルザ―ド・カイザス支部長兼大隊長に似ている)
と考えていた。
隊長格は、襲撃者の状況とルークを一瞥すると、
「ご助力感謝する。ここから先の村の様子も把握していたら教えて頂けないだろうか?」
「・・・ああ。もちろんだ」
てっきり、問答無用で捕縛されてから尋問紛いのことをされると思っていたので少し拍子抜けしながら返事をすると。
掻い摘んでことのありましを答えた。
「なるほど。そこまでご助力していただけたとは、心より感謝いたします」
やはり完全にルークのことを信用していたわけでは無かったようだ。
今度は、しっかりと頭を下げて礼を言ってきた。
「気にするな。なりゆきだ」
端的にそういうと隊長格は苦笑する。
そして、
「お前たち!話は聞いていたな。4名はここに残り、そこの襲撃者達を山の下の仮説本部に連行しろ!他の者は周囲を警戒しながら村に迎え!!重傷者多数だからな、衛生員はここからが本番だぞ!!各々が理解したら速やかに行動を開始しろ!!」
「「「畏まりました!!!」」」
隊長格の号令を受けて速やかに行動する部下たち。
「名乗りが遅くなって申し訳ない。私は、セインツ王国近衛騎士所属第二部隊隊長のメリッサ・カイザスだ。よろしければ貴殿の名を教えてくれないだろうか」
隊長格・・・メリッサ・カイザスがルークに名前を聞いてくる。
(・・・カイザス。やはりエルザ―ドの身内のものか)
ルークはそう考察すると本名を素直に名乗るか一瞬迷った。
それは単純に気持ちの問題で、先日自分の裁定を下した者の身内に名乗るのがなんだが憚られたからだ。
だが、偽名を名乗った後のリスクを考えると得策ではない。
「ルークだ。所属とかはない」
メリッサは名前を聞いてもピンと来ていない素振りをしながら、
「ルーク殿か、改めてご助力感謝する」
深々と頭を下げたのだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
手前事ですが、とても励みになりますので是非ともフォロー、お星様★★★、お話への応援♥のほどよろしくお願いいたします。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。