24.開戦-爆弾と地獄、そして匣②

……彼女がそう言うと、二人の異形……牛頭馬頭が、私たちに向かってその棍棒を掲げながら突撃してきた。


蓮夏「紅音さん!今は兎に角相手の攻撃を避けつつ隙を見て反撃です!」


紅音「……っせェな、分かってる!」


私たちは牛頭馬頭の棍棒での攻撃を躱しつつ、隙を見て反撃していった。

とは言え、私は攻撃を躱すだけで、反撃は紅音さんに任せっきりだった。

しかし牛頭馬頭らは紅音さんの反撃をものともせず、攻撃を続けてくる、それどころか、牛頭馬頭の攻撃は激しくなってきた……!


……サポートすると言った手前、何とかしないと……!


天音「……ふむ、なかなかしぶとい様子。……これは、此方もより深くに接続しなければなりませんね。」


……?

彼女がそう言うと、その場にあった熱気は一転して、冷気に変わった。


紅音「……あ、なんだ?」


蓮夏「……これは……?」


天音「……知っていますか?仏教における八大地獄とは、八熱地獄のことだけでは無いのです。」


紅音「……?わかんねェよ、もっとわかりやすく言えねェか?」


天音「……八熱地獄、それとはまた別に。八寒地獄……これがあります。今から貴女たちが味わうのは、それですよ。

……あまりにも強すぎるとこちらが耐えきれません故、今から味わうのは嗢鉢羅地獄程度のものですが……」


そう言うと、一気に部屋の冷気が急上昇した。

……寒い、寒すぎる……!


天音「……この程度で音を上げては、あっという間ですね」


紅音「……っせェ、オレらは勝つんだよ。」


牛頭馬頭の攻撃を躱しながら、紅音さんは大量に爆弾を出して爆発させた。


紅音「……これでちったァ暖かくなんだろ……!」


天音「……なるほど、爆発によって冷気を中和するつもりですか。ですが……それで耐えれますかね?」


確かに、それでも牛頭馬頭は爆発をものともせず、こちらに攻撃を続けてくる。

棍棒を振りかざして、こちらに勢いよく振り下ろしてくる。


蓮夏「……っ!危なっ……!」


確かに、騙し騙しで躱し続けてはいるが……このままでは限界が来る。

何か、策を……!この状況を打開できる策……!


天音「……もうすぐですかね。貴女たちが倒れるのも。」


紅音「……バッカにしやがってェ……!クソが……!」


紅音さんは無闇矢鱈に爆弾を投げ続ける。

ダメだ、このままじゃ本当に持久負けする……!

牛頭馬頭が爆弾をものともしない身体を持っている以上、こちらがやるべきは本体への攻撃……?

でも、この冷気の中、爆発での中和で何とか動きやすくはあるが……あそこまで行って、どうやれば?


紅音「……クッソ、本当に……!めんどくせぇ……!」


蓮夏「……何か、何かない……!?」


その時、一つだけ……私の頭に、電流が走った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る