17.突入準備①
日和の一件があって、数日が経った。
五月に入って、世間はゴールデンウィーク真っ只中と言ったところ。
私達は、比良坂先生の家にお邪魔していた。
夜見「……と、言うことで……このゴールデンウィークに、決着をつけたいと思ってる」
ミコト「……なるほど、でも、具体的にはどうするんだい?」
夜見「そう、そこだよね。私達は奴らについて深くは知らない、けど……よく知ってる人が、二人いる。だから、作戦主導はその二人に任せたい。」
私はそう言って日和と紅音を見つめる。
紅音「あァ……?や、オレはんなもん大して覚えてねェぞ?」
夜見「……じゃあ、日和は?」
日和「私は……行けます。研究所の立地や内部構造……大体は把握しているつもりですから」
夜見「……ありがとう、助かるよ、じゃあ今から作戦を練ろう。」
……作戦会議が始まった。
日和「まず、研究所の立地について、ですが……ここからそう遠くない場所……隣の市にありますね。そこの森の中に、ひっそりと建っています」
日和「研究所には入口が二つあります、正面口と裏口の二つですね。今回の突入では裏口から潜入したいと思っています」
遥「……潜入したあとはどうするの?」
日和「あ……潜入、と言いましたけど、それはほぼ不可能です。研究所にはかなり高度な防犯システムが搭載されてまして、裏口から入った瞬間警報が鳴らされるでしょう」
夜見「となると……戦闘は不可避かな」
日和「……そうなりますね、きっと彼らは総戦力を上げて私達を始末しにくるでしょう」
紅音「大丈夫だって〜、あいつら全員オレより弱ェかんな」
日和「……そうだといいのですが、少し、というか……気がかりがありまして」
紅音「……あァ、”ペンタゴン”か」
日和「えぇ……きっと彼らはペンタゴンすら動かしてきます」
……ペンタゴン?急に知らない概念が出てきたので、二人に尋ねた。
夜見「その、ペンタゴン……って?」
日和「……研究所所長直属の、研究所最高戦力を誇る五人の幹部のことです。詳しくは知りませんが……
一人だけでも、かなり強力な力を持ち、野放しにすると不味いので、所長が幹部として首輪をつけている、と聞きました」
紅音「……あァ、まさにその通りだな。正直あいつらに勝てるかどうかが、今回の作戦の成否に関わってくるのは明らかだ」
日和「……えぇ、何とか戦闘を回避できればいいのですが……それも難しそうですからね」
紅音「……あァ……だいぶ前に一回所内でペンタゴンの一人に会ったことが……会ったというか、すれ違っただけだけどよ……かなりヤベェオーラって言うのか?そういうのを感じたな……」
夜見「なるほど……でも、今やらなきゃいつまでも終わらないんだ、やろう」
日和「……了解しました。この作戦の最終目標は研究所の破壊……実行日は、どうしますか?」
夜見「明日の早朝、午前四時から。」
日和「……なるほど、了解しました。その時間帯なら警備が手薄でしょうし……では明日の早朝午前四時までに、隣市の森の入口で集合、ということで。皆さん、よろしいですか?」
……全員がそれを了承して、この日は解散になった。
私は、夜道を一人で歩いていた。家に向かって。
夜見『……ナイト』
ナイト『はい、なんでしょう?』
夜見『やれるかしら、この作戦』
ナイト『きっとやれますよ』
夜見『……うん、そうだよね。ありがとう』
そして家に着き、扉を開けた。
夜見「ただい……ま……?」
そこには、見知らぬ男がいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます